PGAツアーの発表にリブゴルフ会長は大慌て 統合話はどうなる?力関係に微妙な変化

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選手の姿勢にも変化

 ルマイヤン会長が声明に記しているように、今後、PIFから追加投資が行なわれ、PIFを加えた3者の統合が成立する可能性はどの程度あるのか。

 PGAツアー選手の動向に目をやれば、かつてアンチ・リブゴルフの急先鋒だった北アイルランド出身のロリー・マキロイは、昨秋、PGAツアーの理事職から辞任し、あれほど“口撃”していたリブゴルフを今では賞賛するようになっている。

 リブゴルフへ移籍した選手がPGAツアーに「出戻る」ことに対しても、「誰かが誰かに罰を科すことは難しいから、罰則は設けず、彼らの復帰を歓迎したい」と語るなど、すっかりリブゴルフ寄りの姿勢に変わっている。

 だが、穏やかな人柄で知られるPGAツアーのリッキー・ファウラーは、「リブゴルフ選手は自分で決断して移籍したのだから、彼らがPGAツアーに戻る際には大なり小なり罰を科すべきだ」と珍しく強硬姿勢を見せ始めた。ナイスガイで知られるジョーダン・スピース も、PIFからの追加投資に対する意見を米メディアから求められると「それは必要だとは思わない」ときっぱり言い切った。

 ファウラーとスピースの強気の発言から伝わってくるものは、PGAツアーとしての安堵と自信だ。SSGとその財力を味方に付けた今、PGAツアーはもはやPIFのお金の力に頼らずとも安泰になったということなのだろうか。

 そうだとすれば、SSGとパートナーシップを結んだことは、この2年超、PIFのマネーパワーに押されっぱなしだったPGAツアーがようやく逆襲に出たことを示しているようで、PIFが入る隙はなくなったように感じられる。

 だからこそPIFのルマイヤン会長は、そうした見方を否定するために大慌てで声明を出したのだろう。ゴルフ界の統合、ゴルフ界の春は、まだまだ遠そうである。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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