PGAツアーの発表にリブゴルフ会長は大慌て 統合話はどうなる?力関係に微妙な変化

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「統合話は立ち消え?」

 そして今年1月31日、モナハン会長によって発表された「重大事項」の内容は、新たな営利法人「PGAツアー・エンタープライズ」を創設するというものではあったが、PGAツアーがパートナーシップを結んだ相手はPIFではなくSSGとされた。

「えっ? PIFはどこへ行った?」「PGAツアーとPIFとの統合話は立ち消え?」「交渉の輪からPIFは押し出された?」

 そんな疑念を払拭するため、ルマイヤン会長は大慌てで声明を出し、PGAツアーとの関係や将来的な協業の可能性が消えたわけではないことを強調したのだろう。米メディアも「PIFからの追加投資はありうる」と今のところは報じている。だが、「おそらく」という言葉が付されており、今後、何がどう転ぶかはまったくわからない。

 PIFのルマイヤン会長が慌てた様子を見せたことからもわかる通り、ここへ来てPGAツアーがわずかに優勢に転じ始めたという印象を受けたことだけは確かである。

続く対立

 昨年6月にモナハン会長とルマイヤン会長が満面の笑顔で統合合意を発表したとき、両者の対立は終焉し、ゴルフ界に平和が訪れるのだと多くの人々が思ったことだろう。しかし、現実はそうはならなかった。

 米国が長年「世界一のプロゴルフツアー」として誇ってきたPGAツアーがサウジ勢力と手を取り合うことを、米国の誰もが素直に喜んだわけではない。その証拠に、米国の議会や政府はいち早く動き出し、何かしらの法律違反に相当するのではないかという「あら探し」的な視線で現在も調査を行なっている。

 PGAツアーの理事会が主体となって進めてきたPIFとの交渉は難航し、昨年12月31日に設定されていたデッドラインは延長された。それと前後して、PGAツアーのスター選手の代表格だったスペイン出身のジョン・ラーム はリブゴルフへ移籍。つい最近も英国出身のティレル・ハットンや米国のトップアマがラームに引っ張られるようにしてリブゴルフへ移るなど、リブゴルフによる選手の引き抜きは相変わらず続いている。

 2024年のリブゴルフの日程は、発表されているだけでも4試合がPGAツアーのシグネチャー・イベントと同週にぶつけられている。そんなふうに依然としてPGAツアーとリブゴルフの対立が見て取れる昨今、両者が手を取り合ってプロゴルフ界が統合される日は本当に到来するのだろうかと首を傾げる向きは多かった。

 その矢先にモナハン会長によって発表されたのが、PIFではなくSSGとのパートナーシップ締結だった。そのためルマイヤン会長は「交渉の輪からPIFが押し出された」という見方が広がることを懸念し、大慌てで声明を出したのだろう。

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