マラソン・前田穂南を日本新記録に導いた靴とは? 「ナイキの独壇場の“厚底”にアシックスが」
「アレです」
1月28日に行われた大阪国際女子マラソンのレース前、記者に目標を聞かれた前田穂南(ほなみ・27)はこう答えた。阪神の岡田監督が優勝の隠語として使い、昨年の流行語大賞に選ばれた「アレ」のことか。前田は大の阪神ファンだそうな。
「ただ、本人は『アレ』の意味を明かさなかった。大阪国際での優勝か、それとも現在争われている『最後のパリ行き切符』か、よく分かりませんでした」
とスポーツ紙記者が語る。
レースは20キロ過ぎ、前田がペースメーカーを振り切り飛び出した。終盤は天候が悪化。向かい風が強まり、雨も降り出す過酷な展開となった。そんな中で前田は日本人トップでゴール。タイムは2時間18分59秒。そう、2005年9月25日に野口みずきがベルリンマラソンでマークした2時間19分12秒の日本新記録を19年ぶりに更新したのである。
「記録の出やすい海外レースでなく国内の、それもアップダウンがある大阪で達成したのですから圧巻です」
「これから続々と好記録が生まれる予感」
野口が走った4日後の9月29日、阪神はリーグ優勝を果たしている。昨年の阪神Vはそれ以来のご無沙汰だったが、前田の快挙も同じくらいのご無沙汰だ。
そういえば、男子のマラソン日本記録更新もご無沙汰だった。18年2月の設楽悠太による記録更新は16年ぶり。だがその後、大迫傑、鈴木健吾が間髪を入れずに記録を塗り替えた。
「『あいつができるなら俺もできる』と、なだれ現象が起きました。女子でも、これから続々と好記録が生まれる予感がします」
パリ五輪出場3枠は、昨秋のMGCで2枠が決定済みで、残る1枠が争奪戦に。前田は筆頭候補に躍り出たが、早晩誰かがその記録を更新するかもしれない。
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