西行は待賢門院璋子と「一夜の契り」を交わしたのか――日本文学史最大の謎を追う
西行といえば、23歳の若さで出家して、一途に和歌の道を追い求めた天才歌人。その清廉な生き方は、これまで多くの日本人を惹きつけてきた。
それにしても、若く、お金持ちで、前途有望だった西行が、なぜ突然出家したのか――その理由として取り沙汰されてきたのが、鳥羽院の妻であり、崇徳天皇の生母である待賢門院璋子との「道ならぬ恋」である。璋子といえば、大河ドラマ「平清盛」(2012年)で檀れいさんが熱演したのをご記憶の方もいるだろう。
西行歌集研究の第一人者・寺澤行忠さんの新刊『西行 歌と旅と人生』(新潮選書)では、西行の出家の理由として「潔癖説」「恋愛説」「数寄説」の三つを挙げて検証している。...