日大常務理事を電撃辞任した和田秀樹氏が激白 アメフト部“大麻汚染”問題のウラにひそむ「日大改革の“抵抗勢力”と権力の二重構造」

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「学部再編」が試金石

「なにより、いざ問題が起きた際、責任を問われるのは学部長会議のメンバーでなく、理事会などの執行部という点に大きな違和感を覚えました。たとえばアメフト部の部長は日大の文理学部長が兼ねていましたが、一連の薬物問題を受け、この学部長は昨年12月に(アメフト部)部長職を解嘱された。しかし彼が林理事長などとともに記者会見に出て批判の矢面に立つことは一度もありませんでした。この歪な構造を変えないかぎり、真の改革は成し遂げられないと痛感しました」(和田氏)

 アメフト部の“大麻汚染”問題で吹き飛んでしまったが、林理事長が掲げる改革の方向性について、和田氏はこう語る。

「私は今後の日大改革には“学部再編が欠かせない”と考えていて、それは林理事長にも伝えていました。相次ぐ不祥事によって存在意義が問われている危機管理学部の存廃に加え、御茶ノ水と松戸(千葉)にある歯学部の統合の可否など、かねて再編の余地は大きいと指摘されてきた。また具体的に進んでいた改革案の一つが、看護学部の新設計画です。実現すれば、生徒に占める女性比率も上がり、初の女性学部長の誕生に繋がるかもしれない。しかし学部再編の問題は、各学部長の利害と衝突しかねず、一筋縄ではいかない面もありました」

「人脈」という武器

 一方で4月1日から就任することになる、新学長の大貫氏には期待するところがあるという。

「大貫氏は日大理工学部出身で、大学のDX(デジタル変革)化など改革志向を持っていることは承知しています。昨年12月、林理事長が文科省に追加の改善計画を提出した際に同席していたのも彼でした。ただし大貫氏が学長になったからといって、構造改革にまで踏み込むのは容易でない。だからこそ、林理事長の最大の強みである“人脈”を今こそ発揮してほしいのです。外部の経営者などを集めた“日大経営改革会議”のような第三者機関をつくれば、学内からの干渉を避けられ、改革は前進するはず。私の辞任によって、身を挺してでも林理事長を守る“側近”はいなくなりましたが、いまも改革が成就することを願う気持ちに変わりはありません」

 言葉の端々に「志半ば」で去らざるを得なかった無念さを滲ませつつ、それでも希望は捨てていないという。

デイリー新潮編集部

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