FA選手の「人的補償」は本当に撤廃すべきなのか? 楽天は「星野さんの一声で松井稼頭央をプロテクトした」

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制度存廃の是非は話のすり替え

 しかし、それで今回の和田のようなトラブルを防げるのか。

「簡単なことですよ。相手球団に指名されて出せないことが決まっている選手は必ず、プロテクトすることです。星野さんは(16年オフ)に西武から岸(孝之投手)を取った時、和田のように41歳でベテランの域に達していた松井(稼頭央=現西武監督)をプロテクト名簿に“念には念を入れ、入れておけ”と指示しました。球団内部では稼頭央が指名される可能性は低いとみていて、彼に貴重なプロテクト枠を使うかどうかで意見が割れていましたが、星野さんの一声で名簿に入れることになったのです。このエピソードは、当時、楽天の監督だった梨田昌孝さんも過去にコラムで明かしています」(同)

 ソフトバンクは22年オフ、日本ハムから近藤健介外野手をFAで獲得した際にも、同年7勝を挙げた和田をプロテクト枠から外したという。この時、事なきを得たことが成功体験になったのか、再び同じ措置を取ったようなのだが……。

「ソフトバンクは西武の和田の指名に“待った”をかけるぐらいなら、1枠を惜しまずにプロテクトしておくべきでした。(高年俸のベテランは指名しないという)西武の配慮を期待するような駆け引きに出たからこそ、恐らくプロテクトしていたであろう甲斐野(央投手)を代わりに差し出すことになったのだと思います。球団の対応がお粗末だっただけで、制度の存廃の是非に話をすり替えれば、本質を見失うと思いますが……。名簿をNPBが把握しなくても、今回のような騒動は防止できるでしょう」

 選手会は引き続き、NPBに人的補償の撤廃を働きかけていくという。

デイリー新潮編集部

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