FA選手の「人的補償」は本当に撤廃すべきなのか? 楽天は「星野さんの一声で松井稼頭央をプロテクトした」
人的補償は戦力均衡、活性化で成果
ソフトバンクに西武からフリーエージェント(FA)移籍した山川穂高内野手(32)の人的補償を巡り、28人のプロテクト枠(新人、外国人を除く)から外れたソフトバンクの和田毅投手(42)が現役引退と引き替えに、西武の指名を拒否したとされる件で、同制度の撤廃を求める声が上がっている。中でも、日本プロ野球選手会は強硬で、スポーツメディアによると、1月23日に森忠仁事務局長が「選手会としては以前から撤廃してほしいと訴えているし、プロテクトのリストを当該球団だけでなく第三者も見られるようにした方がいい。(ソフトバンクの騒動は)制度的に起きるべくして起きたと思う」と主張した。
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一方で12球団の戦力均衡を目的とした人的補償を支持する声は根強く存在する。同制度はトレードのほか、最近では現役ドラフトのように球界の人流を活性化してきた。移籍先で若手がチャンスを得たり、ベテランが模範になったり、プラスの化学反応を示したケースは少なくない。元NPB球団社長は「和田のことで感情的になって人的補償をなくすというのは、いかがなものでしょうか。撤廃ではなく、より良くするよう今の制度に手を加えることから始まればいいと思います」と性急な結論を戒める。楽天のさる球団関係者も撤廃には否定的な見解で、プロテクト枠が28人では少ないため、最低でも30人へと増やした上で「星野(仙一)さんが副会長だった時ぐらい、球団が方針を徹底すれば、今回のソフトバンクのような不幸なことは起こらないのではないでしょうか」と2016年オフに楽天が採った手法を薦めるのだ。
現行の人的補償制度は2008年に始まった。旧所属球団の年俸で1~3位をAランク、4~10位をBランク、11位以下をCランクとし、人的補償はA、B両ランクの選手を獲得した時に発生する。13年オフに広島からFA宣言した大竹寛投手が巨人に移籍すると、広島は一岡竜司投手を獲得。巨人移籍後に2桁勝利がなかった大竹に対し、一岡はリリーフの一角として広島の16~18年のリーグ3連覇に貢献した。以前の巨人や今のソフトバンクのように資金力が豊富な球団に、過度に戦力を集中させないため人的補償は一定の成果を上げてきた。
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