コーチ不在が原因? なぜ伊藤美誠は五輪を逃したのか…恩師は「弱点を研究され、見るのが忍びないくらい」

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すべてを知る男

 だが、外されたコーチは伊藤のすべてを知る男と言っても過言ではない。

 その人物とは、彼女が小学生の頃からの練習相手で、中学生から正式にコーチとなった松崎太佑氏。伊藤の母が代表を務める伊藤のマネジメント事務所でも、彼は取締役として名を連ねるほどで、全幅の信頼を得ていたことがよくわかる。

 ところが、である。同社の登記簿をみれば松崎氏は、昨年11月30日付で取締役を退任。「伊藤美誠担当コーチ」として登録されていた日本代表強化スタッフリストからも、昨年前期以降は消えたのである。

「そんな美誠を見るのが忍びないくらいだった…」

 伊藤が練習拠点としていた関西卓球アカデミーで当時、ヘッドコーチを務めていた大内征夫氏は、

「松崎コーチは、対戦相手の戦績や弱点を細かく記録して分析する能力に長けていた。ベンチに入らなくなった後も、彼は美誠が関西アカデミーに来た際はアドバイスしていたよ。彼女との縁が切れたわけでもないと思う。ただ、東京五輪後は、他の選手が美誠の弱点を徹底的に研究し、攻められる場面が目立っていた。彼女はフォアに来た球をスマッシュして得点にする。これを自慢の“ハエたたき”と呼ぶが、フットワークが落ちテンポも合わず、彼女を怖がる相手がいなくなった。私自身、そんな美誠を見るのが忍びないくらいだったよ……」

 団体戦のメンバー入りも逃して意気消沈の彼女には、今こそ“糟糠のコーチ”の助言が必要に違いない。

週刊新潮 2024年2月8日号掲載

ワイド特集「そこが知りたい」より

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