「芸人とマネージャーの力関係を変えたのはダウンタウン」 松本人志騒動、吉本興業はどこでどう間違えたのか

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週刊文春側の言動にも疑問が

 記事が出た直後、吉本はどのようなコメントを出せばよかったのか。以下は危機管理の第一人者である田中氏が考えた“正解コメント”である。

〈読者が不快に感じる内容の報道に直面して困惑しています。事実ならば人に愉快さを提供する企業として由々しき問題と認識しています。ただちに自らの手で調査をしますが、必要に応じて第三者に調査を委ねます。弊社および所属芸人の信用や業務への多大な支障が発生すると思われますので、事実誤認や出版社の商業的意図の有無を公益に照らして記事を精査していきたいと考えています〉

 なるほど、このようなコメントを出してきちんと対応していれば、吉本が企業イメージの低下を最小限に抑えられていた可能性は大いにあろう。

「週刊文春側の言動にも、疑問を感じるものがありました」

 と、田中氏は言う。

 その一つが、松本の記事が掲載された「週刊文春 1月4・11日新年特大号」の発売に合わせて「週刊文春電子版 年末年始 特大キャンペーン」なる割引キャンペーンを実施すると宣言したことだといい、

「さらに、新年特大号が完売となると、週刊文春の編集長は“本当に嬉しく思います”とのコメントを出しました。松本さんの記事があるからキャンペーンを打ったというわけではないのかもしれませんが、この二つのメッセージは裁判において決してプラスには働かないと思います。松本さん側がこの点を法廷で指摘すれば、商業的意図の報道という心証を裁判官に与えかねないからです」(同)

“お礼LINE”の存在

 また、さる司法記者は、松本からの性被害を告白した〈A子さん〉がアテンド役の「スピードワゴン」小沢一敬に送っていた“お礼LINE”に注目する。このLINEは文春の第1報では全く触れられておらず、1月5日に「週刊女性PRIME」が初めてその存在を明らかにした。

「性被害にあった女性がこうした心にもない“お礼”をしてしまうことがあるのは、文春が続報で取り上げている通りですが……」

 と、司法記者は言う。

「裁判では、文春が第1報の記事を書くにあたり、“お礼LINE”の存在を知らなかったのかあえて触れなかったのかが問題になる。ただ、どちらの場合でも、松本側の弁護士や裁判官から追及されることになると思います」

 いずれにせよ、焦点となる女性への性加害だけではなく、「飲み会」までなかったとも受け取れるコメントを出した吉本の過ちは間違いない。

「あんな内容のコメントになったのは、記事に激怒した松本が“事実無根と言うとけ”と言い、それに会社側が従ったからでしょうね。松本から“それでええねん”と言われたら、岡本社長は黙るしかありません。吉本における立場は、岡本社長より松本の方が圧倒的に上ですから」(吉本興業元幹部社員)

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