ついに韓国バブルが崩壊し始めた 「4月の総選挙までは」と必死に持たせる尹錫悦政権
「3割下がれば問題発生」
不動産価格の下落に連動してチョンセの額も下がると、退去する借家人に全額払い戻せなくなります。そのおカネはすでに次のマンション購入に充てているのですから。これは「逆チョンセ」と呼ばれ、2023年から多発し社会問題化しています。
借家人もチョンセの資金を銀行から借りていることが多く、「逆チョンセ」に遭遇すると借金を返せなくなります。不動産価格が下がると、家主と借家人の双方が借金で首が回らなくなり、この面からも金融システムが動揺するのです。
2023年10月23日、国会の企画財政委員会で韓銀の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が「不動産価格がピークと比べ30%以上下がると問題が起きる。内部で検討の結果判明した」と語っています。政府・金融当局も最終的な防衛ラインを「ピークから30%」に定め、軟着陸させるつもりなのでしょう。
――何が何でも不動産価格を維持するしかない。
鈴置:その通りです。しかし先ほど申し上げた通り、生産年齢人口の減少により実需が減る以上、不動産価格を維持するのは難しい。韓国人は岐路に立っています。マンションが少し安くなった今、買うか。もっと安くなるのを待って買うか――。
前者なら価格は維持されるかもしれません。後者なら、絶望的です。もっと下がるのを待とうと考える人が増えるほどに価格は下がる。すると「待つ」人もますます増える――という悪循環に陥るからです。
通貨スワップをねだった尹錫悦
尹錫悦政権が日本との通貨スワップを異様なほどに求めたのも分かります。韓国の金融危機は通貨危機につながりやすい。日本ほどに外貨準備も、対外純債権も持たないからです。
1997年のアジア通貨危機の際には韓国から外貨が一気に流出。結局、IMFの厳しい管理下に置かれる羽目に陥りました。中堅財閥の相次ぐ倒産により、金融システムの動揺が懸念されていたことが背景にありました。
2008年のリーマン・ショックの時もウォンを大量に売られた韓国は米国、中国、日本に通貨スワップを結んで貰い延命しました。ファニーメイなど破綻した米政府系金融機関の債権を、外貨準備を使って380億ドルも買っていたことが発覚。外貨準備は通貨防衛に必須の弾丸です。これと民間金融機関の経営不安も相まって、激しいウォン売りを呼んだのです。
海外の投機家は鵜の目鷹の目で弱点を探し出し攻撃を仕掛けます。今回もバブル崩壊で韓国の金融システムに黄信号が灯ったことなど、とっくにお見通しです。
2023年8-10月の毎月、外国人投資家は韓国の株式と債券の双方を売り越しました。これが3カ月間以上続いたのは、IMF危機(1997年)の後始末として資本市場が開放されて以降、3回しかありません。
1回がリーマン・ショック当時の2008年9-11月、残りの2回は一次産品価格の下落で発展途上国から資本が流出した2015―2016年です。韓銀の「金融安定報告書(2023年12月)」が指摘しました。
「『韓国消滅』と慌てふためく韓国人…急激に落ちる出生率は“世界ワースト1” 日本への『上から目線』は続くのか」で書いたように、韓国は日本とは比べものにならない異様な速度の出生率低下により、衰退のとば口に立っています。
そして、この異次元の少子化を背景に金融・通貨危機に陥りかけています。韓国の実像を見つめる必要があります。
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