ついに韓国バブルが崩壊し始めた 「4月の総選挙までは」と必死に持たせる尹錫悦政権

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 韓国の不動産バブルがついに弾けた。建設会社が倒産し始めたのだ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は破綻の連鎖を必死で抑える。総選挙が4月に迫る今、経済危機に陥るわけにはいかないのだ。だが、韓国観察者の鈴置高史氏は「先送りするほどに危機が膨らむ」と冷ややかに見る。

建設会社が破綻、全国に波及

鈴置:12月28日、業界で施工能力ランキング16位の泰栄(テヨン)建設が債権団の協力を得て事業整理すると発表しました。要は資金繰りに行き詰まって経営破綻したのです。

 同社は工事を受注するのと引き換えに、不動産開発の資金を調達するプロジェクトファイナンス(PF)に債務保証してきました。同日が期限の480億ウォン(約52億8000万円)を決済できなかったのですが、同社のPFに絡む債務保証の総額は9兆1000億ウォン(約1兆円)にのぼると報じられています。当然、金融システム、ことに主な貸し手であるノンバンクの経営悪化が懸念され始めました。

 泰栄建設が破綻を認めた12月28日、韓国銀行は「金融安定報告書(2023年12月)」を発表。不動産バブルの崩壊が金融システムを揺らしかねないと警告を発しました。

・高金利が市場の期待以上に長期化する中、不動産景気が委縮すれば不動産関連の貸し出し比率が高いノンバンクの健全性が予想以上に速く悪化する危険がある。
・脆弱性が目立つ不動産PFに関しては、事業継続か整理かを貸し手が迅速に決める必要がある。

 問題を先送りしがちな尹錫悦政権の尻を叩いたのです。泰栄建設だけではありません。倒産の波は全国に広がっています。

急速に冷え込んだマンション景気

 中央日報の「地方の建設会社は限界に…2カ月で20余社が更生法適用」(1月25日、韓国語版)によると2023年12月以降、蔚山(ウルサン)広域市の施工能力1位と2位の建設会社が会社更生法の適用を申請。光州(クァンジュ)広域市・全羅(チョルラ)南道地方では中堅・中小の建設会社2社が更生法を申請したのに続き、施工能力が全国で99位の建設会社も支払い不能に陥り、工事を全て中断しました。

 韓国建設産業研究院の「2024年1月 月刊建設市場動向」によると、2023年1年間で廃業した総合建設業は581社。2022年の362社と比べて60%も増えました。2014年以降の廃業は年間、200-300社でした(図表(1)参照)。建設不況の深刻さが分かります。

 国土交通部が1月30日に発表した「‘23年12月 住宅統計」によると、2023年1年間の住宅建築への認可件数は38万8891件で前年比25・5%減。着工件数は20万9351件で同45・4%減。分譲件数は19万2425件で同33・1%減。竣工(入居)件数は31万6415件で同23・5%減。韓国建設業界の主な食いぶちであるマンション景気が2023年には一気に冷え込んだのです。

 ことに地方では「竣工後の未分譲」――売れ残りが急増しています。「2024年1月 月刊建設市場動向」によると2023年12月現在、1万8576戸で前年同月の7518戸と比べ44・4%も増えました。「売れ残り」のうち、80%が地方で発生しています。

 韓国経済新聞は「蔚珍(ウルジン)0人・山清(サンチョン)1人…凄惨な地方分譲市場」(1月22日、韓国語版)で、慶尚(キョンサン)北道の60戸の新築マンションで購入希望者がゼロだった、慶尚南道の77戸では1人だけだった――などと報じています。

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