能登半島地震で台湾から約25億円の寄付金 「124」の数字が注目 なぜこんなに多くの額になったのか
親日派と親中派
「寄付を行うと、場合によっては税金の控除の対象になります。コンビニによっては、募金するとポイントが付与されるサービスを行っています。とはいえ、寄付で恩恵を受けるといっても微々たるものです。寄付金の内訳を調べてみると、額の大半は日本円にして1万円とか5000円です。節税やポイントバックを意識したものではないことは明らかでしょう」(同・矢板氏)
コロナ禍の当時、日本では親台湾派の識者からも「余ったワクチンを押し付けているように受け止められかねず、提供には問題があるのでは?」と懸念する声が出た。実際のところ台湾の人々は、どんな感想を持ったのだろうか。
「台湾では親日派と親中派は明確に分かれています。親日派のほうが数は多くて約3分の2、そして親中派が3分の1というところでしょう。日本のワクチン提供に反対する意見も出ましたが、それは親中派から出たものでした。要するに彼らは中国製のワクチンが欲しかったのです。そのため3分の2の台湾人は日本のワクチン提供に感謝しました。今回の募金も、国内多数派とでも言うべき親日派が熱心です」(同・矢板氏)
日本と中国の違い
もともと台湾は募金が盛んな国としても知られている。2011年の東日本大震災でも、台湾からの寄付金は220億円を超え、一部のNPOなどが「世界各国の中で最も高額」と報じた。
さらに13年に発生した中国の四川地震でも、矢板氏によると「ほぼ同額の寄付金が中国に送られた」という。
「ところが寄付を行った結果、日本と中国の違いが浮き彫りになってしまいました。現在、日台関係はかつてないほど友好的なムードです。日本の政治家が台湾を訪れると、『東日本大震災では多額の寄付をありがとうございました』と、改めて感謝の意を表することが珍しくありません」(同・矢板氏)
ところが中国に多額の寄付を行っても、「礼を言われたことは滅多にない」(矢板氏)という。
「それどころか中国は『台湾統一のために武力行使も辞さない』との姿勢を示し、あからさまに台湾を脅しています。東日本大震災で台湾人の寄付と、日本側から感謝のメッセージがやり取りされることで、日台関係は深まりました。多くの台湾人がそういう実感を持っているからこそ、能登半島地震でも多額の寄付金が集まったのではないでしょうか」(同・矢板氏)
[2/3ページ]