初期費用は770円、お手入れは「3日で15分」 高齢者のメンタルに効く「エアプランツ」の勧め
エアプランツ好きの楽園
反省しつつもエアプランツを育てること2年。その間、知識を深めるためには、書籍だけでなく、熱帯植物栽培家の杉山拓巳氏がYouTubeで発信する情報も役立った。
杉山氏はエアプランツを中心として多種多様な熱帯植物を栽培し、テレビ、ラジオ、雑誌などさまざまな媒体で情報発信している人気の園芸家である。なにより、植物を擬人化することで初心者にも分かりやすく解説してくれるので、私もファンになった。
そこで今回、杉山氏にお願いし、愛知県内にある農園を取材させていただいた。
そこはエアプランツ好きには楽園のような場所だった。ご本人も正確には分からないという数の株がネットの上にずらりと並び、見たことがない種類も多い。なかには、信じられないほど大きく育った株もある。
「育てる人を感動させる」
まず、氏にエアプランツの魅力について尋ねた。
「空中でも育つことと、花が咲くことです。これまでは、植物の鉢を棚に置くとか床に置くとかが基本でしたが、エアプランツは土がなくていいから、壁に掛ける、吊るすなど、新たな空間を使うことができます。空中で育っていく植物というのはやはり魅力的だと思うんですよ」
花が咲くことについては、見た人が少ないせいか、あまり知られていない。農園で目撃した花の色は、赤、ピンク、紫、青など意外なほど鮮やかだった。
「緑とか白っぽい株で育ってきても、成熟すると真っ赤に染まって花を咲かせる。葉の色を変えたり、(茎から花までの)花序をグググッと伸ばすのはものすごく体力が必要なことなんです。その過程を見ていると、ああ、頑張ってるな、生きているんだなぁ、って実感できるんですよ。育てる人を感動させる。花が終わった後は枯れていくんですけど」
花が咲くのはうれしいが、枯れてしまうのは寂しい。
「でも、枯れたあとには、子株ができてクランプ(群生)状になり、次の世代に移って、そこからまた育つことを繰り返します」
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