初期費用は770円、お手入れは「3日で15分」 高齢者のメンタルに効く「エアプランツ」の勧め
初期費用はたったの770円
問題は草木を育てる庭がなく、プランターや鉢を置ける広いベランダもないことである。小鉢なら室内にいくつか置けるが、土の匂いがしたり、虫が湧いたりする事態は避けたい。土が必要なく、虫の心配も無用な植物はないだろうか。
ありました。学名はティランジア、俗にいうエアプランツだ。
水やりがいらず、放っておいても勝手に育つといわれているあれです。
エアプランツは熱帯アメリカを中心に広く分布し、原種だけでも600種類を超える植物で、ふわりと軽いものが多く、場所もとらない。鉢植えの植物と違って、植え替えも必要ないので、園芸初心者には誠に都合が良い植物なのだ。
しかも、園芸店やホームセンターだけでなく、100円ショップでも手に入る。100均なら、5種類買っても550円の出費なので、懐にも優しい。
私が最初に手に入れたのは、ハリシーとイオナンタという2種類のエアプランツだった。ダイソーでは、330円の大きなサイズも売られていたので、そちらのサイズを選んだ。初心者にはある程度育った個体の方が失敗が少ないだろうと思ったからだ。
初期費用は霧吹きを含めて770円。水は必要ないとされているものの、葉を湿らすための霧吹きくらいは必要だろうと考えてそろえたのだが、のちに自分があまりに無知であったことを痛感することになる。
なぜ2カ月で異変が?
私はまず、2株のエアプランツをおしゃれなガラスの器に載せて、デスクトップパソコンの側に置いた。ふさふさした緑の葉がかわいらしく、目にするたびに気持ちが和んだ。
霧吹きをするのは気が向いたときで、週に2度くらい。とにかく手間が掛からないので、もっと種類を増やそうと考えていたのだから、のんきなものだった。
さて、ハリシーとイオナンタはどうなったのか。
結果を言うと、育つどころか、2カ月後には葉先が枯れ、全体的に萎びてきた。
一体全体、何がいけなかったのだろう。
そこで、エアプランツに関する書籍を読みあさったところ、水が必要ないのは、熱帯雨林など自生地に限られたことで、むしろ水が好きな植物だと分かった。水は根からではなく、主に葉から吸収するため、霧吹きは欠かせない。また、光合成のためには窓辺などの柔らかな陽が差し込む場所に置くのがいい、ともあった。
どの条件も満たしていなかったのだから、萎びてくるのも当然だ。さらには、水やり後に株が蒸れるのを防ぐため、風通しがいいことも生育条件だった。
生きている植物である以上、生育には水、光、風が必要なのに、基本的なことを無視していたのである。
[2/6ページ]