道の駅、直売所から漬物が消える? 食品衛生法改正で「地元のお年寄りは設備投資できない」

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 旅の途中、つい立ち寄りたくなるのが地元の野菜や漬物などが買える道の駅や直売所だ。ところが6月1日以降、売り場から漬物がごっそりと姿を消すかもしれない。

 厚生労働省担当の記者が解説する。

「食品衛生法の改正によって、2021年から漬物の製造に許可制が導入されたのですが、その経過措置が5月いっぱいで期限を迎えるのです。6月以降は都道府県が定める基準を満たす必要があり、例えば住居と製造場所が区別されていることや、床面や壁が不浸透の素材で造られていること、また、浅漬けを作る場合は製品が10度以下になるように管理されていることなどが求められます。こうした設備が整っていることを地元の保健所に申請して、製造許可を得る必要があります」

“法改正でもう作れない”という人が

 要するに販売するための漬物を作る場合は、厳しい衛生基準をクリアする必要があるということだ。しかし、これが現場では波紋を起こしている。

「大手スーパーならともかく、道の駅や直売所、小さな商店などでは農家さんが作った漬物が売られているのが実情です。しかし、作業場を新たに造るとなると数十万円の投資が必要になる。高齢者の中には、そんなお金は出せないという人が少なくありません」(同)

 実際、福島県下郷町にあるJA会津よつばの「藤の郷直売所 よらっしぇ」に聞くと、

「ここでは梅干しのほか福神漬け、酢漬け、キムチ漬けなど十数品目を売っていますが、多くが地元のお年寄りが作ったものです。でも、“法改正でもう作れない”という人が結構いる。既にやめてしまった人もいます。このままでは大手の漬物メーカーしか残れないし、若い人に手作りの味を伝えようにも、それができなくなるのが残念です」(販売責任者)

 厚生労働省は何と答えるのだろうか。

「改正法の背景には食中毒がなかなか減らないという問題があります。浅漬けはもちろん、梅干しであっても最近は減塩のものが売られており、安心できません。ただ、漬物はさまざまな種類があり、食品衛生法第54条では都道府県が斟酌(しんしゃく)できるとあります。製造業者の方はまず保健所に相談してみてください」(食品監視安全課の担当者)

 漬物は食品というだけでなく文化であることもお忘れなく。

週刊新潮 2024年2月1日号掲載

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