「セクシー田中さん」芦原妃名子さんが愛したポーカーと仲間 「先生はいつも優しく私たちの話に耳を傾けていた」30代OLが語る思い出

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女子会にも参加

 向上心が強く、アミューズメントカジノにもよく出入りしていた。「仲間の中で“師匠”を見つけ、師事するくらい真剣だった」という。

 ポーカーの集いから派生した「女子会」に顔を出すことも。こちらも主催者の自宅で行われるホームパーティーで、料理やお菓子、飲み物を持ち寄り7~8人で深夜までおしゃべりに耽る。

「参加者は20~30代のOLばかりでしたが、ここでも先生は自然に溶け込んでいました。服も手土産もとにかくセンスが良い。思わず『どこで買ったんですか?』と聞いてしまうこともよくあった」

 芦原さんは、他の参加者が打ち明ける恋愛や仕事の悩みにじっと耳を傾けていたという。

「たわいのない話を面白がってくれました。よく“私、会社勤めをしたことがないから、会社に勤めている女の子たちが日々感じていることを知りたいんだよね”っておっしゃっていた」

 忘れ得ぬ思い出は、A子さんが誘った友人が“事件“を起こしてしまった夜のこと。友人は失恋したばかりで、ついお酒を飲み過ぎ、床に吐いてしまった。A子さんが友人に付き添ってトイレから戻ってくると、タオルでフローリングを拭き掃除してくれていたのが芦原さんだった。

「白いスカートが汚れないか私は恐縮しきりだったのですが、先生は“気にしないで。友達は大丈夫?”って。さらに後日、“私でよければ、もう少し話を聞こうか?”と私を友人を食事に誘ってくれた。その時も3時間以上、私たちの話に付き合ってくれました」

先生から悪口を聞いたことはない

 最近はあまり会っていなかった。訃報を聞いてからは、優しかった「先生」を思い出してしまい、寂しい気持ちになる。

 なぜ自死という道を選んだのかは、そこまで親しかったわけではないからわからない。ただ芦原さんが最後にXに残した〈攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい〉という言葉については、本心からの言葉だと思う。

「先生が誰かのことを悪く言うのを聞いたことがないから」

 芦原さんはポーカーを愛した理由について問うと、「想像ですが…」と断った上でこう振り返った。

「純粋に、ポーカーの奥深さに惹かれたのもあると思いますが、色んな人と他愛のない話をしながら過ごすひとときが楽しかったのだと思います。熱心に私たちの話に耳を傾けてくれていたのは、リアルな読者世代の気持ちを知って、漫画で表現したいという創作意欲があったからなのでしょう。連絡をしたら、快く会ってくれる気さくな方でした。もうお会い出来ないなんて寂しいです」

 女性たちに愛された作品の続きを読むことはもう叶わない。

■相談窓口

・日本いのちの電話連盟 電話 0570・783・556(午前10時~午後10時) https://www.inochinodenwa.org/
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226) https://www.since2011.net/yorisoi/
・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談 電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html
・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jscp.or.jp/soudan/index.html

デイリー新潮編集部

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