不倫がバレて、妻は「あなたは汚らわしい」と言い放った…それでも「悪い気がしなかった」という45歳「マザコン夫」の家族観
彼女の年齢を知って驚き
帰りにまた喫茶店で会った。智香子さんは次のステップの教室に通うとも言った。彼は教室はもういいやと思っていたため申し込まなかったのだが、彼女が通うならとあわてて手続きに行こうとした。
「あなたに会えるなら通うと言ったら、智香子さんは笑っていました。僕の気持ちをわかってなかったんでしょうね。といって若い人のように告白なんてできないから、いつか食事でもと誘ったら、彼女は『今日なら時間があるけど』と。飛びつきました。店を吟味する暇はなかったので、知っている小料理屋に電話して席をとってもらって……」
仕事関係者と行く店だったが、個室をとってもらった。店主は口が堅いから彼が週末に訳ありそうな女性と訪ねてきたとしても仕事関係者に話すことはないだろうと踏んだ。
「早かったですよ。その日のうちに男女の関係になりました。軽く飲みながら食事をしているうちにお互いに秘めた思いがあったんだとわかったので」
ベッドの中で初めて彼女の年齢を知った。彼より一回り上だった。いくつか年上だとは思ったが、まさかそんなに違うとはと彼は驚いた。
「驚いたのは彼女がものすごく若く見えたから。肉感的なタイプだし、性的にもとても積極的だったし、とにかく素敵な時間だった。『年を言わなくてごめんね』と言われたけど、そんなのまったく関係ない。彼女によって僕は男として初めて大きな快感を得ました」
彼は彼女に夢中になった。彼女のほうはひとり息子が成人して独立しているし、夫とはもう互いに好きなように生きようと話し合っているという。彼女を止めるものはなかった。
「彼女自身も仕事をしているから、僕に経済的な負担はかけたくないと。彼女が食事代を出してくれることが多かったですね。そういうのもありがたかった。若い恋人同士みたいに会いたい気持ちが募って、週に5回くらい会ったこともあります」
疑う妻の一言
夜中に電話で話していて急に会いたくなって家を出て落ち合ったり、彼女の家の近くまで車で迎えに行って深夜のドライブを楽しんだこともある。まるで学生のように自分を解放した恋に、ふたりとも身を任せていた。
「そんなことをしていたら、さすがの妻も疑いますよね。今回は疑うというよりは『誰かいるんでしょう』といきなり言われました。料理教室のころから実は怪しいと思っていた、と。もちろん『そんなことがあるわけない』と否定しましたが、妻は『若いころのほうが言い訳がうまかった』と言いました。妻があんな切って捨てるような言い方をするとは思わなかったのでちょっと驚きました」
そんな妻になぜか刺激され、彼は夜中に妻の寝室へ赴いた。年に数回、そういうことがあったから拒絶はされないと思っていたのに拒絶された。あげく「あなたは汚らわしいわ」とまで言われた。
「変ないい方ですが、妻が初めて本音を出してくれたような気がしました。拒絶されたので自室に戻りましたが、なんだか汚らわしいと言われても悪い気がしなかった。ヘンなこと言ってますよね、僕」
いいえと私は首を横に振る。わからなくはないのだ、こういう心境が。好悪関係なく、相手の本音がふいっと見えたとき、人は少し心が弾む。そんなことはあると思う。
「智香子さんとは少し会う頻度は減りましたが、変わらず続いています。妻も変わらず疑っているとは思うけど、それ以上、踏み込んではきませんね。上の子が今度中学生、下の子は9歳ですからまだまだ手がかかる。子どもたちの前では、以前と同じようにごく普通の親でいますよ。ただ、妻が僕に直接話しかけることはほぼなくなっている。僕は変わりなく話しかけています。妻は返事はするけど、すぐ子どもたちに話しかけて僕との会話は打ち切る。そんなことが続いているのが現状です」
彼に罪悪感はない。智香子さんとの関係を続けながら、自分なりに家庭を大事にしていると断言する。
「智香子さんとは、気持ちもそうだけどもう体が離れられない。そんな気がするんです」
行けるところまで行くしかない。覚悟はしている。そう言って少し笑った表情は、確かにある種の年上女性を惹きつけるものに見えた。
前編【母は「チビ太」とからかわれていたボクを救ってくれた…年上女性と何度も不倫を繰り返す45歳「マザコン夫」の原体験】からのつづき
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