オカダ・カズチカが新日を退団 エースとして12年間背負ったものは何か
米マットで期待される活躍
先日、配信大手のNetflixが、オカダの移籍先として有力視される米トップ団体・WWEを独占配信する契約を結んだとのニュースが入った。その金額は向こう10年間で約7400憶円。現在、同団体で活躍する中邑真輔が日本のバラエティ番組で、「年収は5億円くらい?」と聞かれ、「それほどではないです」と笑って否定したことがあった(2020年)。逆に言えば、その数字からそれほど遠いわけではないこともうかがわれる。オカダがもし同団体に参戦するなら、やはり、稼ぎ頭になるのではないか。
また、オカダ自身、凱旋帰国前、アメリカの団体TNAで戦っていた経験を「財産」としており、「常にテレビカメラがどこにあるかを意識して試合をするように」厳命されていたことが随分、役に立ったという。例えば得意のドロップキックにしても、オカダの場合、横から全身が入る形で映っている場合が大半である。こういったカメラ位置を考慮する姿勢は、アメリカのリングではより重宝されるのではないかと思う。
冒頭で紹介したインタビュー中、オカダが「それ、あまり話したくないんですよ」と、顔をしかめたことがあった。それは、自身が必殺技、レインメーカーで勝つごとに3万円を公益財団法人「がんの子どもを守る会」に寄付するという「レインメーカー基金」が大々的に報道されており、筆者もそれについて聞いた時だった。
「だって、スターが社会に還元して行くのは、当たり前のことでしょう? プロ野球選手とか、何も言わずにそういう貢献活動をやっていますよ。報じられることもない。なのに、僕の場合は報じられたということは、『プロレスラーが、こんなことをやった』という珍しさだろうし、それだけプロレス側に、こういうことに関する意識が足りないんだなあって。僕が上がって行くことで、そういう部分の意識も変えて行ければなあとは思っています」
そして、この当時より、なりたい存在について、こう語っていた。
「僕がなりたいのは、その存在だけで、魅せられる人。肩書きがなくても、通用する人なんです。メキシコ時代、エル・イホ・デル・サントという選手が出るというだけで、1万6000人入るアレナ・メヒコ(会場)が満杯になった。凄いなあと思いました。理想を言わせて頂けるなら、僕がなりたいのはそういう、名前だけで客を呼べるような“カリスマ”なんですよ。どんなジャンルでも、結局、そういう存在がいることで上がって行くじゃないですか? マスコミの反応を含め。テニスの錦織選手しかり。アイススケートの羽生選手しかり……」
そして、こう締めくくった。
「だから、当座のライバルは、ハルク・ホーガンとかになるのかな……」
この取材時から、いずれは世界に出て行く予感はしていた。世界中のリングに金の雨を降らすことを期待したい。
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