解散後の大きな挫折も…ポケビ“復活”の夢を見事叶えた千秋のたくましさ

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ポケビ復活に向けたゆまぬ努力

 昨年末の「NHK紅白歌合戦」では、ポケットビスケッツとブラックビスケッツが復活を果たしたことが話題になった。この2組は、日本テレビの往年の人気番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」から生まれた音楽ユニットである。

 日本のテレビ放送70年を記念した特別企画「テレビが届けた名曲たち」に登場した2組は、圧巻のパフォーマンスを見せた。2組そろってのテレビ出演は実に21年ぶりだという。

 ポケットビスケッツのボーカルを務めたのは、タレントの千秋。衰え知らずの歌唱力でヒット曲の「YELLOW YELLOW HAPPY」を歌い上げた。この大舞台は彼女にとって感慨深いものだったに違いない。なぜなら、数年前に千秋はポケットビスケッツの復活が夢であると公言して、そのための努力を欠かさなかったからだ。

 彼女は2020年に自身のYouTubeチャンネルを立ち上げた。歌手活動を本格的に再開して、ポケットビスケッツを復活させるためだった。チャンネル登録者数が100万人を突破したら、その記念として1日だけポケットビスケッツを復活させるつもりだと語っていた。

 ポケットビスケッツの楽曲を手がけたパッパラー河合の協力も得て、新曲を発表するなど、これまで精力的に活動を続けてきた。その努力が思わぬ形で実ったのが今回の「紅白」だった。

歌手になることしか考えていなかったのに

 デビュー当初の千秋は、つかみどころのない「不思議ちゃんキャラ」として知られていた。芸能界に入ったきっかけはフジテレビのオーディション番組「ゴールド・ラッシュ!」だった。小さい頃から歌が好きだった千秋は、歌手になることを目指して19歳のときにこのコンテストに出場。5万人の出場者の中からグランプリに選ばれ、事務所と契約を交わした。

 しかし、歌手志望の千秋の思いとは裏腹に、事務所スタッフには「お前はバラエティに向いているからまずはバラエティに出た方がいい。CDなんてタレントとして売れたらいくらでも出せるから」と言われた。

 歌手になることしか考えていなかった彼女は、当時は事務所の人の言うことに納得できなかった。だが、のちのち、その言葉は紛れもなく正しかったのだということを思い知らされることになる。

 デビュー当初はフジテレビの後押しを受け、いくつかの番組に出演していた。「ウゴウゴルーガ」ではアニメの声優を務めたり、大坪千夏アナとコンビを組んで漫才をやったりしていた。レポーターとしてチンパンジーと三輪車で遊ぶロケが好評だったことから、シャチに乗ったりワニに添い寝したりする体を張った企画にも挑戦していた。場の空気を読みながらも、時には感情を爆発させてはしゃぐ千秋のキャラクターは、バラエティの世界にはうってつけだった。

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