弾道ミサイル攻撃に備え麻布十番駅に地下シェルターを整備? 都市伝説が現実になる日
「より安全に避難できる施設」とは?
それでは、小池都知事が表明した「より安全に避難できる施設」とは一体どんな施設を想定しているのか?
「現状で決まっていることは、来年度に麻布十番駅に併設された備蓄倉庫を避難用に活用できるか否かを調査することだけです。そのために、来年度に1億6500万円の調査費を計上します。麻布十番駅に併設されている備蓄倉庫が調査対象に選ばれたのは、イチから新しい施設を調査すると時間も費用も莫大になってしまうからです。既存施設の活用という観点から、麻布十番駅に併設されている備蓄倉庫を調査することになったのです」(東京都総務局総合防災部防災管理課の担当者)
麻布十番駅のような備蓄倉庫は、墨田区の都営白鬚東アパートの敷地内や立川市の立川地域防災センターなど都内20か所に設置されている。麻布十番駅のように地下鉄に併設されているものでは、同じく都営大江戸線の清澄白河駅にもある。
気になるのは、備蓄倉庫には、どんな物品がどれほど貯蔵されているのか? という点だ。
「220万人が3日間、最低限の生活を送れるように非常食・紙おむつ・生理用品・毛布などを備蓄しています。都内各所に応急給水槽が整備されているので、倉庫に水は備蓄していません」と説明するのは、東京都福祉局生活福祉部の担当者だ。
応急給水槽は東京都水道局が整備し、災害時に給水ステーションとして活用される。それらは、おおむね半径2キロメートルの範囲内に1か所、都内に213か所ある。
これら東京都が整備する緊急一時避難施設や新たに整備を表明した「より安全に避難できる施設」、さらに備蓄倉庫などはあくまでも災害用だ。諸外国との有事の際に活用できるものではない。とはいえ、今年1月1日に発生した能登半島地震では、約1か月が経過した現在も約1万人が避難生活を送っている。
小池都知事が整備を表明した「より安全に避難できる施設」が、どこまで都民を守ることができるのは未知数だが、能登半島地震を目の当たりにし、官民ともに大規模災害に対する備えを強化する意識は高まっている。
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