【リニア】川勝平太・静岡県知事にJR東海が異例の反論で分かったこと…政治家なのに人の話を素直に聞く気がない
延伸工事に関する「勘違い」
「なぜ川勝知事が『実験線の完成・延伸とは、現在の実験線を延伸し、営業線にすることだ』と断言したのか、真相はよく分かっていません。一部のメディアは2010年、国の審議会にJR東海が提出した資料を知事が誤読した可能性を指摘しています。JR東海も会見で同じ資料を使って知事が勘違いした可能性を示唆しました。実験線は1997年に18・4キロが完成し、2007年に42・8キロに延伸する工事が国の承認を得ました。川勝知事が誤読した可能性のある資料は2010年に作成されたもので、ここに延伸のことが明記されています。ただ、資料はどのように読んでも、『実験線の延伸』とは18.4キロを42.8キロに延伸することだとしか解釈しようのないものです。川勝知事の解釈は理解に苦しみます。なお、42.8キロへの延伸工事は2013年8月に完了しています」(同・記者)
川勝知事が資料にある「実験線の延伸・完成」を「実験線は神奈川県や山梨県の駅などに延伸され営業線となること」と理解したのなら、それは間違いなく誤読だ。単に18・4キロが42・8キロに伸びるという工事が「延伸」であり、実験線はすでに完成している。
最後の5点目は工事ヤード(作業場)整備の問題だ。国土交通省の有識者会議は昨年12月、静岡工区の工事が南アルプスの環境に悪影響を与えないよう、モニタリングを行いながら必要に応じて対応を見直すべき、などの提言を報告書にまとめた。
工事ヤード問題
「ところが川勝知事は1月4日に行われた会見で、いきなりJR東海に噛みつきました。知事は『工事をしながらモニタリングするというが、工事ヤードすら整備されていない。船ができていないのに寄港地の研究をしているようなものだ』と批判しました。ところがJR東海側は今回の会見で、『作業ヤードの整備工事は知事の了承を得て進めてきたが、2020年に知事が了承せず、工事はストップしている』と指摘。『工事ヤードの整備が私どもの意向でストップしているかのような話があったが、そうではなくて知事からこのタイミングで了解が得られなかったので行えていない』と反論しました。川勝知事は、いわゆる“ブーメラン”を食らった格好です」(同・記者)
JR東海の会見を受け、川勝知事は1月29日の定例会見でJR側の「事実誤認」という指摘に対し、「データに基づいて申し上げている」などと反論した。
「川勝知事が事実誤認に基づく発言を行った際、JR側は毎回ではないにせよ、以前から県の事務方を通じ、タイミングを見定めながら間違いを指摘していたことも、JR東海の会見で明らかになりました。にもかかわらず、知事の発言には事実と異なる内容が含まれ続けています。これにJR東海は『困惑している』と憂慮を示したのです。ところが川勝知事は29日の会見で、『仮にJR東海から情報提供があれば、速やかに報告を受ける形に今までもなっているし、これまでもそうです』と反論しました」(同・記者)
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