【リニア】川勝平太・静岡県知事にJR東海が異例の反論で分かったこと…政治家なのに人の話を素直に聞く気がない
「事実関係について異なる点が多くある。事業や計画の内容は正確に認識した上で発言してほしい」──“異例の苦言”が行われても、知事はピントのずれた反論を重ねるだけだった。リニア建設を巡っての議論は、混迷の度合いを増す一方のように見える。
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それにしても、上場企業の専務が知事に“諫言”したという時点で、紛れもなく前代未聞のことだったに違いない。
テレビ静岡は1月24日、「リニアに関する川勝知事の主張や持論をJR東海が“訂正” 我慢ならず?異例の反論会見を実施 静岡」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。
記事はネット上でも大きな反響を呼び、静岡県におけるリニアの建設問題が国民的な関心事になっていることを示した。なぜJR東海は異例の会見を開いたのか、そして、何を国民に訴えたのか、同社や関係者などの取材を通じ、改めて再現してみたい。
冒頭、JR東海の木村中・専務執行役員は会見を開いた目的について説明した。担当記者が言う。
「JR東海が問題視したのは、川勝平太・静岡県知事の発言です。年末年始に川勝知事はリニア計画について様々な発言を行いました。ところがJR東海によると、知事の発言は事実と異なる点が多く、誤解を与える内容になってしまっているそうです。実際、会見後に行われた記者との質疑応答で、川勝知事が事実と異なる発言を行うと、周辺自治体などから『あの発言は本当なのか?』という問い合わせが来ることを明かしました」
開業時期の謎発言
24日の会見で、JR側は5つの点を説明した。最初の第1点は「リニア中央新幹線計画の目的」を明確にするというもので、川勝知事に対する直接の反論ではなかった。
「JR東海が従前から説明していたことですが、リニアは東海道新幹線のバイパスであり、東京=名古屋=大阪という日本の大動脈輸送の“二重系化”が目的だと改めて明言しました。東海道新幹線は今年の10月に60周年を迎えますが、将来の経年劣化や、南海トラフ地震など巨大災害のリスクに備える必要があるそうです。さらにリニアが開業すれば品川・名古屋は最短で40分、品川・大阪間は最短67分で結ぶことができます。首都圏、中京圏、近畿圏が1つの巨大都市圏となり、日本経済の活性化に大きく寄与する可能性も改めて示されました」(同・記者)
大部分が地下を走るリニアは災害に強いと見られている。地震や豪雨が発生しても運行に支障がないケースも考えられ、災害発生時の移動手段としても期待されているという。
「第2点目から、川勝知事への“反論”が始まりました。これまでJR東海は『品川・名古屋間は2027年に先行開業』、『大阪までの延伸は2037年を目指す』との目標を掲げてきました。ところが静岡工区の建設が川勝知事の“反対”で全く進まないため、昨年12月にJR東海は『2027年』を『2027年以降』に改めた工事実施計画を国に申請し、国交大臣の認可も得ました。すると川勝知事は今年1月、『2027年という数字が消えたのだから、2037年の東京と大阪の全線開通が残された最後の期限』という、意味不明の主張を行ったのです」(同・記者)
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