“元新人王”は輝きを取り戻せるのか? 復活が期待される「セ・リーグ6選手」

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ヤクルトの命運を握る投手

 リーグ連覇から一転して5位に沈んだヤクルトでは、やはり奥川恭伸の復活が待たれる。2年目の2021年にはチームトップタイの9勝を挙げて、クライマックスシリーズでMVPに輝くなど、20年ぶりの日本一に大きな役割を果たした。

 その後、野球人生が暗転。翌年は1試合に登板しただけで、右肘の不調を訴えて長期離脱。トミー・ジョン手術は回避して保存療法を選択したものの、昨年は一軍復帰を果たず、二軍でも、8試合に登板して0勝4敗、防御率6.26と明るい兆しは見えなかった。

 本人も認識しているように、高校時代から股関節の柔軟性が不足している。このため、疲れがたまると、どうしても肩や肘に負担が出てくる傾向が強い。それでも、このオフは順調に調整を続けており、2年ぶりの一軍スタートが決まっている。ヤクルトは、慢性的な投手不足に悩んでいる。奥川は、チームの命運を握る存在である。何とか開幕から一軍ローテーション入りを果たしたい。

中日の切り札として期待される「梅津晃大」

 2年連続最下位から上位進出を狙う中日。復活への期待が大きい投手は、梅津晃大である。東洋大時代は、上茶谷大河(現DeNA)、甲斐野央(現西武)とともに150キロトリオとして評判となり、2018年のドラフト2位で中日に入団した。

 1年目は右肩の不調で出遅れながら、夏場以降に先発に定着。4勝1敗、防御率2.34と結果を残した。その後は、度重なる故障に苦しみ、2022年3月にトミー・ジョン手術を受けている。

 昨年8月に一軍復帰を果たすと、9月25日の阪神戦では8回を投げて1失点の好投で約3年ぶりに勝利投手となった。昨年は、3試合の登板ながらもストレートの平均球速は150キロを超えており、ボールの勢いは完全に戻っている。力のある投手が多いチームの中でも、ポテンシャルの高さは1、2を争う梅津。1年を通じてローテーションを守ることができれば、チーム浮上の切り札となる可能性が高いだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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