“不倫妻”篠田麻里子は「脱ぎ損」か? 異例の再生回数を記録した復帰ドラマがなんとももったいないワケ
男性親権の難しさという視点は面白いのに…おじさんによるおじさんのためのドラマに成り下がってしまった悲しさ
もったいないと思ったのにはもうひとつ理由がある。不倫ドラマの視聴者の中には、まさに当事者だから見ているという人も少なくない。昨シーズンの「あなたがしてくれなくても」のヒットの背景には、原作ファンだけでなく、夫婦間の性の問題に悩むたくさんの男女の存在があった。なかなか他人には相談しづらいことだからこそ、ドラマを通して追体験し、癒やしやヒントを得たい。エンタメではなく一種のセラピーとして、不倫ドラマを求めるニーズはある。
今作にも、怒れる「サレ夫」たちの注目が集まっていた。特に第1話で説明されていた、「妻の不倫は夫の親権獲得の理由にならない」「母性優先の原則により、父親の1割しか親権を取れない」といった理不尽な現実に、主人公がどう立ち向かうか関心が向けられている。さらに伊藤淳史さん演じる岡谷渉は、もとは敏腕記者という設定。愛娘の親権を取るために、仕事より家事に軸足を置くことを決意した男性だが、「家族のために出世から降りた」男性の孤独に焦点を当てたドラマもなかなかなかった。
せっかくドラマの切り口は新しく、これまでにない視聴者にアピールすることができるかもしれないのに、繰り返されるのは安っぽいベッドシーンばかり。おじさんによる、おじさんのための悪ノリドラマにしか見えない。演出が本気なのかジョークなのか、制作チームに今一度聞いてみた方がいいのではないでしょうか、マリコ様。