“フードロス”“自腹買取”の象徴「恵方巻」に変化の兆し…コンビニ店員が「恵方巻だけを悪者にしても“廃棄問題”は解決しない」と語る理由

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時給が高いコンビニには裏がある

 恵方巻の今後についてですが、今と同レベルで定番のイベントになっていくでしょう。ただ、恵方巻といえばコンビニのイメージが強いものの、実際はスーパーで買われる数が多いというのは事実です。だからコンビニだけがフードロスをしている、と捉えられるのは少し違和感がありますね。

 さて、知り合いのコンビニ店長にも聞きましたが、東京の店舗では、今はやはり無理をさせないようです。過去の無茶なノルマなどはいつ内部告発されるか分からないというのも理由でしょう。とはいってもフランチャイズが恵方巻の店舗別売上ランキングを発表して競争を促す面もあります。

 私の店はかなりランキング上位なのですが、恥ずかしながら従業員が皆、数本ずつ買っていた事実はあります。ノルマがある店は求人募集の時給で、薄々わかります。たとえば、地方都市で最低時給の900円ほどの店があるとしましょう。それがその地域の標準的な時給です。

 そんな中、1200円とか出している店は何か裏があると思っていいと思います。その手の店は恵方巻に限らず、何らかのノルマがあるかもしれません。いずれにしても、今はそれほど「恵方巻狂騒曲」のような状況にはないと思います。競争が激しかった時は廃棄率に応じてクオカードを店に渡す、とかもありましたね。廃棄率が低いと多く渡すのです。それだけFC本部は恵方巻に力を入れていたのですが、SDGsとかも言われている中、競争は控えめになっているのでは、と感じています。メディアも食品ロスの象徴のように面白がって報じないでほしいものです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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