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法律論で「原作者」の権利について問題提起したTBS

 TBSは、1月31日の情報番組「ひるおび」にて、芦原さんのSNSを元に日テレ側のやりとりをボード上に再現し、法律的な観点から「原作者」の権利について整理していた。

(八代英樹弁護士=番組コメンテーター)
「私も原作を映像化する制作委員会に入ったこともあるが、原作の世界観とそれを映像化したものは別のコンテンツ、別の作品に仕上がるものですから、媒体も変わってきますし、どういうふうに変わるのか、残しておいてほしいところ、変えてもいいところを原作者と二次作品=二次的創作物をつくる主要メンバーとの間で十分に意思の共有ができていないといけない。原作者には渡してしまったら『もう自由に作っていただいて結構です』というタイプの方もいらっしゃいますし、原作の世界観を忠実に再現してほしい、という作者も当然いらっしゃいます。その間に入るプロデューサーであったりの関係者が緊密に意思疎通を図る必要があった。その部分がしっかりできていなかったかな」

 著作権問題に詳しい河西邦剛弁護士もスタジオで解説した。原作者の「同一性保持権」についてのものだ。著作物のタイトル、内容などを勝手に改変させない権利で、著作者のみに専属し、譲渡できない。著作者の意に反した改変だった場合、権利侵害になることもあると説明したうえで、

「原作者の権利は非常に強いんですね。原作がドラマ化される(二次利用)。さらにインターネットで配信される(三次利用)。さらに海外に売られる(四次利用)、と。どこまでいっても原作者の権利を持てることになる。逆にいえば制作サイドはそこに許諾を取っていくことが必要。(中略)ドラマ制作特有の制約もある。たとえば、キャスティングをどうするか、全部を10話に落とし込んでそれぞれに起承転結をつけないといけないとか、スポンサーの意向もあったりとか、なかなか原作者の意向を反映させたいとしても、その板挟みというか、両立が難しいというのも現実問題ではあったりする。その調整が今回はうまくいってなかったと見えます」

 TBSは、1月31日夕方ニュースの「Nスタ」でもボードを用い、芦原さんと日テレ側とのやりとりを再現。スタジオで萩谷麻衣子弁護士がコメントした。

「権利関係がどうなっていたのかは非常に気になるところで、最初に出ていたドラマ化する条件が契約書などにきちんと落とし込まれて制作者側と原作者側で共有されていたのかが気になります。そのような条項がなかったとしても、ドラマに対して原作者は著作者人格権を持っていて、その中の同一性保持権もあるので、自分の意図に反して、勝手に改変されない権利もあります。(中略)著作者側と制作者側がどれだけコミュニケーションをちゃんととって進めていたのかにも問題があったかなと思います。(中略)作品というのは原作者の精神的活動から生み出されていて、精神性やメッセージ性や思想性が大事に注ぎ込まれているものなので、そこを尊重するという態度が制作者側にあったのかなというところがやっぱり気になるところです」

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