「日本人がわれわれに合わせるべき」埼玉県の「クルド人問題」当事者らに話を聞くと衝撃の答えが…市議は「多文化共生は不可能」

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クルド人の子どもたちが非行に走る理由

 約30年、クルド人を支援してきた松澤秀延氏に伺ってみた。

「在日クルド人の両親は遊牧民で自給自足。トルコ政府からの迫害や差別も影響して、学校はだいたい小学5、6年までしか行ってない。自分たちが学校に行っていないのでたいていの親は教育の大切さがわからない。子どもたちの大多数は日本語がわからなくて落ちこぼれます」

 中学校を出るか出ないかの年齢で解体屋で働き始めるケースが大多数なのだ。

「非行に走るのは中学校を卒業するかぐらいの子。そういった子の親は日本語がカタコトしかできない。でも子どもは親よりはできるから自分はもう親と同等とか勘違いしちゃって、親の注意を聞かなくなったりする」(同)

 学校に行かず、クルド人社会で生きていると日本の習慣を学ぶ機会がなく、いずれアイデンティティーの問題にぶつかる。そうしたことも非行に走る背景にある。

「若い子たちは大人たちに対し“何言ってんだ。上から目線で見るなよ”と冷ややかに見ています。だから車を買って暴走運転をしたりする。ニューカマーや2世3世が暴れている。彼らに対して日本社会はこうだからと教え諭しても無駄。それでも根気強く『違うんだよ』と言い続けて自覚を促すしかない。信頼を築くことが大事」(同)

 そしてこう続けた。

「日本は人口減少が止まりません。将来のために今こそ若い外国人労働者が日本で起業し未来社会に貢献できるシステムが必要です」

 外国人を住民として受け入れることが今後、少子高齢化で先細っていく日本にとって必要だと主張する。

「多文化共生は不可能」

 しかしだ。川口市の当該地区の住民は、受忍の範囲をすでに超えている人がもはや珍しくない。

「7月の病院での騒ぎで逮捕された7人は不起訴で釈放。今も付近に住んでいます。そんな情報が出回っているんですから住民が怖がるのも当然です」(松浦洋之・川口市議)

 生まれも育ちも川口市の奥富精一市議も言う。

「私は、もともと多文化共生は実現可能であると思っていて、彼らと共生の道を探り取り組んで参りました。しかし現実は、不法外国人によるトラブルに地域住民が続々と被害を訴えてくるようになりました。そして、自己主張が強く逆上する外国人にへきえきしている地域住民の声に直面し、結論に達しました。行政の考える多文化共生は不可能です」

 相次ぐ相談を受け、自民党川口市議会議員団は対策を急ぐよう国に働きかけている。昨年11月21日、出入国在留管理庁長官宛に「仮放免者に係る許可の厳格化と諸問題の解決のため具体的な対策を講じることを求める要望書」を提出した。

 外国人との共生――。マスコミが繰り返す実に美しいスローガンである。しかしそれが言うほどたやすくはないことを、川口の実情はわれわれに訴えかけている。

 前編では、危険運転や執拗(しつよう)なナンパなど、川口市民が直面する「クルド人問題」のリアルについて報じている。

西牟田 靖(にしむたやすし)
ノンフィクション作家。1970年大阪府生まれ。日本の国境、共同親権などのテーマを取材する。著書に『僕の見た「大日本帝国」』、『本で床は抜けるのか』、『誰も国境を知らない 令和版』など。

週刊新潮 2024年2月1日号掲載

特別読物「『危険運転』『ナンパ』『騒音』…病院前の暴動で救急搬送ストップ! 『クルド人』急増地帯『川口市』が直面する“多文化共生”の実情」より

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