【リブゴルフ】ジョン・ラーム移籍で無理矢理13番目のチームが誕生 19歳新人の参加経緯にも疑問

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デビューの経緯に疑問も…

 米国のトップアマがPGAツアーを経験することなくいきなりリブゴルフでプロデビューした例は、サーラント以前にもすでに2例ある。

 アリゾナ州立大学出身で世界アマチュアランキング9位だったダビド・プイグが2022年シーズンからリブゴルフに加わり、オクラホマ州立大学在学中で同ランキング2位だったエウヘニオ・チャカラもプイグに続いた。

 若く優秀な才能がリブゴルフへと向かうことは、本人たちが望んで決めているのだろうから、周囲が引き留めたり咎めたりすることはもちろんできない。だが、今回のサーラントに関して言えば、彼が突然、テネシー大学を中退し、プロに転向してリブゴルフでデビューすることを決めた経緯が不透明であることに疑問を覚えずにはいられない。

ラーム自ら勧誘

 昨年末の予選会を勝ち抜いてリブゴルフの出場資格を手に入れたビンセントや日本の香妻陣一朗らは、正当にリブゴルフにクオリファイした選手たちである。

 それならば、サーラントはどうやって何の資格でリブゴルフ選手になったのか。米ゴルフウィーク誌によると、ラームは契約メーカーなどを通じてサーラントと知り合い、連絡を取り合っていたとのこと。

 ラームやハットンのようなトッププレーヤーが高額な移籍料によって勧誘されることは「さもありなん」だが、まだプロとしての実績ゼロのアマチュアが、移籍料はさておき、一選手による勧誘によってリブゴルフに引き入れられ、そしてデビューできるのだとすれば、昨年から開催された予選会は形骸化してしまう。そして、あの予選会は世界ランキングの対象ツアーとして認めてもらうために形式的に行なっただけだと思えてくる。

 ラームを獲得したがゆえに本来の「4人×12チーム=計48人」体制を壊し、「4人×13チーム=計52人」を擁するリブゴルフに様変わりしたこと、そして人数合わせの勧誘が成立してしまうところに、プロゴルフツアーとしての脆弱性を感じずにはいられない。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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