「松本人志」の沈黙で身動き取れない後輩芸人たち “同情論”を伝えた情報バラエティ番組の新しい論点とは

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関与は不明、だからこそ…

 いずれの番組の出演者たちも、本当のことはわからないと言いながらも、松本さんの会合のセッティング役などさせられていた後輩芸人たちに同情的な姿勢を見せていたのが特長だった。

 絶大な権力を握る大物芸人のために汚れ役をやらされた後輩芸人たちの処遇は、他のニュース番組や情報番組は話題にしていなかったが、芸人、あるいはタレントだからこそ察しがつく事情があるのだろう。力関係が圧倒的ななかで汚れ役を担い、かつ仕事も失ってしまうのは理不尽だ、という正義感も背景にあるようだ。

 とはいえ、性暴力という重大な人権侵害につながっている可能性がある問題である。もし性暴力が事実であった場合には、お先棒を担いだ格好の後輩芸人たちにどこまで同情の余地があるか、という議論があることも事実だ。

 だからせめて、太田光さんが示唆していたように、後輩芸人たちが謝罪や弁解をする機会を探ってほしいと思う。大先輩である松本さんのことを忖度せずにそうすることが、今後のエンタメ業界およびお笑い芸人、そして芸能界を健全なものにしていくのでないだろうか。

水島宏明/ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授

デイリー新潮編集部

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