バーレーン戦で失点したGK「鈴木彩艶」のパンチングは疑問 日本代表なら年齢や経験不足を言い訳にはできない

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GK鈴木の判断に疑問

 試合後のGK鈴木は報道陣に対して「空中に弾けば自分もセカンドボールに対応できるイメージで、相手のシュートに反応してセカンドボールも捕りにいこう」と話したそうだ。セットプレーにもかかわらず、しかも経験豊富なCB冨安健洋と板倉滉がいながらバケルにフリーのヘディングシュートを許したことも問題だが、パンチングで空中に弾くプレーも首を傾げざるをえない。

 弾くなら、この状況ではディフレクトでCKに逃げるのが最善の選択ではないだろうか。「空中に弾いた」としても、足を滑らせてセカンドボールに対応できなくなるかもしれないし、相手に先に落下点に入られてしまう可能性だってある。空中に弾いたボールが自陣方向に流れたため結果的にOGにつながったが、例えGK鈴木がセカンドボールをキャッチしたとしても身体がゴールラインを割っていたとも限らない。

 そうした様々なリスクを瞬時に想定してGKはプレーを選択するべきだろう。日本代表のレギュラーGKなら年齢や経験不足を言い訳にはできないはず。それでもキャッチングかパンチングかなど、プレー選択時における瞬時の判断の“甘さ”を感じてしまう。サッカーは「ミスのスポーツ」だけに、今大会では試合を重ねることでミス絡みの失点を減らして欲しいと願わずにはいられない。

上田と浅野の違い

 2-1と追い上げられたことで森保監督が動いた。MF中村に代えて今大会初めてリザーブメンバーに入った三笘薫を、MF久保に代えてベテランの南野拓実を送り出す。すると27分、SB毎熊のタテパスを受けたFW上田が巧みなモーションで抜け出し、GKと1対1から強シュートを突き刺し再び2点差にリードを広げた。

 至近距離からの強烈な一撃にGKはなす術もなかったが、45分+4分にGKと1対1から右足インサイドのシュートを簡単にブロックされたFW浅野拓磨には見習って欲しい、ストライカーらしい思い切りのいいシュートだった。

 そして今大会初出場のMF三笘は40分にもドリブル突破からFW浅野に決定機を演出するなど、限られた時間ではあるが実戦でプレーできたのは好材料だった。森保監督は35分にMF堂安に代えてCB町田浩樹を投入して3BKで守備を固めるなど、柔軟な戦術と選手起用で準々決勝を見据えた采配を見せた。

 唯一の不安材料は、前半36分にふくらはぎを痛めてMF守田英正と交代したMF旗手怜央と、後半45分+9分に競り合いから足を負傷したCB板倉の状態だ。2月3日の準々決勝以降、準決、決勝と中2日での連戦が続くだけに、回復具合が気になるところである。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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