「トランプ再選」は日本経済にとってリスクだらけ?専門家は「1期目より過激化する恐れ」「米国株投資は……」

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 11月の米大統領選に向けて、トランプ氏が共和党の候補に指名されることが濃厚になってきた。何かと強権的な姿勢が目立つ同氏が再選となると、日本経済にはどのような影響が及ぶのだろうか。

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 共和党の候補者選びの第2戦、ニューハンプシャー州の予備選挙もトランプ氏が勝利したことで、大統領選はバイデン氏とトランプ氏の一騎打ちになると見込まれている。いよいよ、トランプ政権の復活が現実味を帯びてきた。

「実際にトランプ氏が大統領に返り咲いたら、日本経済にも様々なリスクが生じてくると
予想されます」

 そう指摘するのは、ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志氏。これまでのトランプ氏の言動から、「第二次トランプ政権」が日本経済に及ぼす影響を以下のように分析する。

米国のインフレが日本にも影響

「まずはトランプ氏の通商における姿勢です。再選したら『輸入品には原則10%の関税をかける』という方針を掲げています。しかし、これが実現すれば、日本の輸出産業にとって打撃になることは間違いないでしょう。アメリカへの輸出品は、自動車や機械設備などすそ野の広い製品も多いので、その影響は小さくありません」

 アメリカ側としても、輸入品の価格が上がることによって米国内でのインフレリスクが高まるというが、

「せっかく落ち着きつつあったのにまたインフレに振れるとなると、FRBはさらなる利上げに踏み切るでしょうから、米国経済にとって強い逆風になります。また、日米の金利差が一層広がり、今以上に過度な円安状態に陥る可能性がありますから、日本国内での輸入品価格も高騰し、消費に悪影響を及ぼしてしまう。賃上げの追い付かない物価上昇が、より深刻になる恐れもあるということです」

 日本にも悪影響を及ぼしかねないアメリカのインフレ。トランプ大統領誕生となれば、あの“ライバル国”との向き合い方にもそのリスクが潜むようで、

「関税という意味では、特に中国に対しては厳しい措置をとると予想され、すでに『中国の最恵国待遇を撤廃する』という意思も表明しています。中国に進出している日本企業は直接的な影響を被るでしょうし、またアメリカにとって中国は日本以上の貿易相手国ですから、やはり米国内ではいっそうインフレリスクが高まると言わざるを得ません。さらに、中国との間で関税の引き上げ合戦が始まり、再び“米中貿易戦争”の体を成してくる可能性もあります。そうなれば、日本どころか世界経済全体が大きく影響を受ける事態が予測されます」

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