「岸田vs麻生」の権力闘争が激化 岸田総理に残された「起死回生の一手」とは
涙の釈明でも
まさに一寸先は闇といった有様である。一方で政局同様、混沌(こんとん)としているのが裏金問題の捜査の行方だ。
宏池会解散宣言を受けて清和会や志帥会も19日、派閥解散決定に追い込まれているのだが、清和会の幹部たちは同日に行われた総会後の会見で、以下のように軒並み責任逃れに終始した。
座長の塩谷氏は、
「長年、事務局から議員事務所に(裏金の)記載をしなくていいということが伝えられていた。(裏金還流の開始時期は)明らかではない。不記載の状況もまったく知らなかった」
また清和会で事務総長を務めた西村氏も、
「私が還付や収支報告書への不記載を指示したり、了承したりしたことはありません」
などと釈明。さらに現事務総長の高木氏が、
「安倍さんに大変申し訳ないと思っている」
と涙ながらに語る一幕まであったのである。しかし、泣いてすべてが許されるわけでもあるまい。
「私が最初に告発したのは派閥パーティー収入の20万円を超えた購入者の不記載・虚偽記入についてで、今話題にされている裏金問題についてではありません」
そう語るのは自民党の派閥による裏金づくり発覚のきっかけとなる刑事告発をした、神戸学院大の上脇博之教授だ。
「清和会の幹部にまつわる裏金の話については、告発を始めたばかり。今年1月9日付で(7日に政治資金規正法違反で特捜部が逮捕した)池田佳隆衆議院議員(57)及び西村氏や高木氏ら幹部、さらに森喜朗元総理(86)を追加で告発しています。検察もすでに事件性を認めているわけですから、告発が受理されないということは考えられません」
検察審査会におびえる日々
上脇教授には清和会幹部らの事件に関して近く処分通知が届くはずだといい、
「処分通知が届けば、不起訴者について不起訴理由の開示請求をします。不起訴処分理由告知書には“嫌疑無し”“嫌疑不十分”“起訴猶予”等、不起訴の理由が書かれています。それをもって、検察審査会に審査申し立てをします」
検察審査会は有権者から選ばれる検察審査員で構成される。審査員11人中8人の賛成で、起訴相当の議決が2回出されれば、強制起訴となる。西村氏や高木氏は検察審査会におびえながら日々を送らねばならぬようなのだが、
「宏池会及び志帥会・平成研に関しても裏金のプールについて告発状を提出しました。裏金問題の告発はまだまだ途中です」
つまり、岸田総理もまた検察審査会の影におびえねばならないというのである。
最後に自民党東京都連最高顧問の深谷隆司氏(88)がこう喝破する。
「人間が3人も集まれば、二つの派閥ができるもの。本来、派閥が問題なのではない。ルールを守れなかったのが問題なのです」
今後、政治刷新本部で派閥パーティーの禁止や人事の介入禁止などの改革案が議論されるだろうが、制度や法ではなく、結局は人が問題なのである。
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