「岸田vs麻生」の権力闘争が激化 岸田総理に残された「起死回生の一手」とは

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麻生副総裁の“意中の人物”とは

 岸田総理は安倍晋三元総理が22年7月に凶弾に斃(たお)れて以来、麻生副総裁を後ろ盾としてきた。その麻生副総裁に事前に根回しもせず、派閥解散を宣言したのにはある抜き差しならない事情があって、

「岸田政権は志公会及び平成研とのトロイカ体制で運営されてきました。ですが、ポスト岸田への野心を隠そうとしない茂木幹事長と、岸田総理との間に亀裂が生じた。実際、岸田総理は昨年9月の改造で茂木幹事長を外そうとしたのですが、麻生副総裁に押しとどめられた経緯があります」(同)

 結果、岸田総理は茂木幹事長との関係が冷え込んだだけでなく、茂木幹事長を推す麻生副総裁との間にも隙間風が吹き始めたといい、

「昨年12月に裏金問題の報道が本格化し内閣支持率が20%を切る調査も出始めると、麻生副総裁は岸田総理に見切りをつけて、ポスト岸田の話題を口にするようになっていました」(同)

 麻生副総裁が意中の人物として名前を挙げたといわれているのは、自派閥の河野太郎デジタル相(61)ではなく、

「筆頭はやはり茂木幹事長。そのほかにも上川陽子外相(70)や加藤勝信元官房長官(68)の名前が取り沙汰されるようになったのです」(同)

 トロイカ体制は事実上、昨年暮れの時点で半ば崩壊していたというわけだ。

唯一仁義を通したのは

「岸田おろしが始まるのは、もはや時間の問題でした。特捜部が宏池会を立件するという情報を事前に得たことに加えて、麻生副総裁に引導を渡されるくらいなら派閥解散の大勝負で世論を手繰り寄せるしかないとの計算が働き、麻生副総裁にも相談なく、派閥解散を宣言したのでしょう」(同)

 一方で岸田総理が唯一、事前に仁義を通していた、とみられる人物がいる。宏池会元会長の古賀誠元幹事長(83)だ。

 さる永田町関係者が声を潜めて明かす。

「古賀さんは周囲に“あいつ(岸田総理)が総理で居続けることにあんなにこだわるとは……”と言ってはいますが、その実、そんなに怒ってないんですよね。岸田総理は前もって、派閥の前オーナーに了承を得ていた可能性が高い」

 続けて、

「古賀さんは同じ福岡を地盤とする麻生副総裁とは長年、敵対関係にあります。一方で宏池会が解散すれば清和会、志帥会も解散せざるを得なくなり、無派閥が多数派になります。そうなれば、政敵である麻生副総裁の志公会は少数派に転落する。最終的には志公会を解散に追いやることができると、古賀さんは計算している節があるのです」

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