【大川原化工機冤罪事件】8回の保釈申請は却下…勾留中に胃がんで死亡した元役員の妻が語る“酷すぎる夫の扱い”

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裁判所の判断に疑問

 後輩たちに機械製作や数学を教えたりする充実した生活を送っていたさ中のまさかの逮捕劇だった。警察、検察はもちろん、8度の保釈申請をすべて却下した裁判所も含めた国家権力の横暴で命を落とした。

「裁判官はちゃんと調べて保釈申請を却下していたのでしょうか」と妻は訝る。

 取材の日、横浜から来ていた妻の友人は「お孫さんといらっしゃる時のご主人のお顔は本当に優しそうでした」と語った。

 余生を富士山の麓で昔気質の夫を見守りながら楽しく過ごせるはずだった。

「主人は何も悪いことなどしてないのに。日本は警察に睨まれたら終わりなんですか。警察官でも悪い人は悪い人として、しっかり処罰してほしいですよ」と悔しさを滲ませる妻に、遺影の相嶋さんが「最後まで苦労かけたな、本当にありがとう」と語りかけているようだった。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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