加齢臭の100倍臭う「ミドル脂臭」の防ぎ方は? 中高年男性のためのスキンケア入門
遺伝子に傷が
さらにこの「光老化」が恐ろしいのは、最悪の場合、皮膚がんを発症するケースもあるということです。紫外線が皮膚の細胞に照射されると、細胞内にある遺伝子に傷が生じます。通常であれば、この傷は元通りに修復されるのですが、長年にわたって繰り返し傷つけられてしまうと、遺伝子がうまく修復されず変異を起こすことがあるのです。この変異を生じた部位がたまたまがんの発生に関わる遺伝子であった場合、その細胞は勝手に増殖を始めて、がんになります。
このようなメカニズムで起こる皮膚がんで多いのは「日光角化症」という病変を伴うものです。日光角化症は紫外線を浴びやすい頭や顔、手などに多く、皮膚表面に赤みがかったデキモノが現れます。日光角化症を起こしていても「イボ」と認識している方が多いため、このような症状には注意が必要です。
このように恐ろしい病気も引き起こしかねない光老化。防ぐためには、とにかく紫外線からの防御が重要です。朝、洗顔して保湿ケアを行った後、家を出る前に、日焼け止めクリームを塗るのを忘れないようにして下さい。
「ミドル脂臭」
一般的に冬の紫外線は夏に比べて弱いのですが、豪雪地帯では雪による反射で普段の2倍近い暴露を起こしてしまうこともあります。豪雪地帯でなくとも紫外線はゼロではありませんから、冬でも日焼け止めを塗る方がよいでしょう。
また、紫外線は薄い雲では80%以上が通過してしまいますので、曇り空でも油断は大敵です。さらに、太陽光の熱さを感じるのは紫外線ではなく赤外線によるものですから、熱さを感じないからといって日焼けをしないわけではありません。
日焼け止めは一回塗れば効果が長時間持続するものではありませんから、冬も夏も、一日に何度か、数時間おきに塗り直すようにして下さい。
〈ぬるま湯としっかり泡立てた洗顔料で優しく洗う。化粧水と乳液で保湿ケアを行い、外出時には日焼け止めを忘れない――。これならスキンケア未経験の男性でも無理なく始められそうである。
しかし、男性の肌トラブルといえば、乾燥やしわなど目に見える変化だけにとどまらない。「臭い」の問題こそ、その代表的なものであろう。
中高年男性の「臭い」といえば、真っ先に思い浮かぶのは「加齢臭」だ。だが樋口氏によれば、近年、加齢臭とは異なる「ミドル脂臭」と呼ばれる体臭のケアも注目を集めるようになっているという。〉
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