加齢臭の100倍臭う「ミドル脂臭」の防ぎ方は? 中高年男性のためのスキンケア入門

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

洗顔のポイントは?

 また、ギトギトした「てかり肌」を回避すべく、制汗シートを使ったり、頻繁に洗顔をしたりする男性もいるでしょう。ところが、制汗シートや洗顔料によって皮脂膜が洗い落とされてしまうと、新生するまでに時間がかかるため、水分保持力が低下し乾燥を招いてしまうケースもあります。このため、男性の皮膚は「てかてか・ギトギトしているのにカサカサ」という乾燥性脂性肌状態に陥ってしまうことも多いのです。

 市販の洗顔料を使って顔を洗うのは、朝と夜の1日2回だけで十分。ポイントは洗顔料をしっかり泡立てて使うことと、ぬるま湯で洗うことです。

 熱々のお湯の方が汚れも落ちやすいと思いがちですが、熱いお湯では必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって肌トラブルを起こしかねません。

 また、洗顔料をしっかり泡立てるのは、顔を洗う際に手や指が直接顔に触れることで肌を刺激し過ぎないようにするため。泡立て用のスポンジやネットを使うのが面倒な方には、泡で出るタイプの洗顔料も販売されているので、そういったアイテムを使ってみるのもお勧めです。

 すすぐ際にはすすぎ残しがないよう、髪の生え際やフェイスラインの裏側までしっかりと洗い流し、清潔なタオルで顔を優しく押さえるように水分を拭き取ります。

 日中、汗やてかりが気になるときも、ハンカチや油取り紙で鼻の横など気になるところを軽く押さえる程度にしておきます。決してゴシゴシ拭き取ってはいけませんし、定食屋や居酒屋のおしぼりで顔を拭くのも、美容の観点からはお勧めしません。洗顔の回数を減らすと皮脂が気になるかもしれませんが、3カ月ほどこのルールを続けていれば、肌質が変わるのが分かると思います。

化粧水と乳液は「使わないのが一番ダメ」

 それから、洗顔後は「保湿」も忘れないようにして下さい。洗顔後の肌は、水気があっても皮脂はほとんどない状態。そこで「化粧水」で水分を補い、その水分が逃げないよう「乳液」で蓋をします。

 化粧水には角層に水分や保湿成分を補給する「柔軟化粧水」と、保湿に加えて過剰な皮脂を抑制したり、肌を一時的に引き締めたりする「脂性肌用化粧水」「収れん化粧水」があります。一般的には冬に前者を、夏に後者を使用することが多いのですが、最初のうちはいろいろな商品を試してご自身の肌に合ったものを探すといいでしょう。最初から完璧を目指す必要はありません。とにかく化粧水と乳液は「使わないのが一番ダメ」なのです。

 ひげそりを行う方は、ひげそり後も同様に保湿ケアを行って下さい。ひげそりは肌のバリア機能を担う角層ごとそぎ落としてしまうため、皮膚の水分が逃げ、乾燥やかみそり負けといった肌トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。

 さて、さきほど「紫外線」というキーワードが出ましたが、私がこれまで接してきた患者さんの中でも、紫外線対策を行っている方は非常にまれ。ですが、男性の肌悩みの大部分を占める「シミ」や「しわ」「イボ」「たるみ」といったトラブルは、ほとんどが太陽光線の中の紫外線が原因になっているのです。

次ページ:「加齢による老化」は実は2割

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[3/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。