加齢臭の100倍臭う「ミドル脂臭」の防ぎ方は? 中高年男性のためのスキンケア入門
さまざまな事情を持つ男性が相談に
〈そう語るのは、東京・丸の内にあるD-ISMクリニック東京で皮膚科医として男性の美容医療に取り組む樋口彩子氏だ。日本のビジネスの中心地で診療を行う樋口氏のもとには、「ビジネスの場で信用を得るため」「子どもの学校行事で恥をかきたくない」「夫婦仲を良好に」「介護を受けるときのため」など、さまざまな事情を持つ幅広い年代の男性が相談に訪れるという。
「美容医療」と言われると抵抗を感じる人がまだまだ少なくない。だが、「肌」は他人が接する最初の「自分」であり、私たちの体を外の世界から守る最初の砦でもある。適切な手入れを怠れば、第一印象は最悪だし、思わぬ病気にかかることもあるのだ。〉
女性より早く皮膚の老化が
私たちの皮膚は1枚の膜で構成されているわけではなく、幾重にも層が重なった構造をしています。皮膚表面から内部に向かって存在するのが、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三つの層。表皮の最外層は「角層」で覆われ、さらにその角層の上を「皮脂膜」が覆っています。
「角層」は美容上最も重要な役割を担っていて、肌のキメはこの角層の状態を反映しています。また、その角層を覆う「皮脂膜」は、皮脂を主体に汗や角層の分解産物が混じり合ってできており、皮膚の水分保持機能や有害物質の侵入防止、感染防御機能などを担っています。
若い男性の中には脂分でギトギトしたいわゆる「てかり肌」という脂性肌に悩んでいる方も多いと思います。これはホルモンの影響により皮脂の分泌が過剰になって起こるものです。
一方、50歳を過ぎたあたりからはホルモンバランスの変化やそれに伴う皮脂量の減少によって、少しずつ乾燥しやすい肌に転換していきます。また、男性は女性に比べ、喫煙や飲酒、乱れた食生活など肌に悪影響を及ぼす生活習慣を持っている方も多いでしょう。さらに毎日のひげそりや無防備に浴びる紫外線などにより角層がダメージを受けて、女性より皮膚の老化が早く進むケースも見られるのが実際です。
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