イチロー氏(50)“満票殿堂入り”が絶望的な「日本人だから」ではない理由 「人種」でも「人格」でもない…松井秀喜氏が備えていたモノ

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イチロー氏に足りないモノとは

 かねて一部の米メディアでは、イチロー氏の満票選出を阻む唯一の要素は「日本人であること」との報道が出た。イチロー氏もマーリンズ時代の17年に「氷やコインを投げられ、実際に何度か頭に当たった。耳にしたくないようなことも言われた」とファンによる自身への差別的な言動に言及している。ダルビッシュ有投手(パドレス)は敵選手からも差別的行為を受けた。

「アメリカ社会にアジア人への差別は根強く残っています。マー君(田中将大投手=楽天)がコロナ禍で日本球界復帰を決めたのも、お子さんが学校で差別的なイジメで身に危険を感じたからです。殿堂で投票する記者の中にも少なからず、アジア人を手放しで認めたくない人はいるでしょう」(同代理人)

 しかし、この代理人によると、イチロー氏が満票を逃すとすれば、「人種的な理由」ではないという。

「今は逆に人種的なことで票を投じなかったと受け止められるリスクが記者にある。そういった意味ではイチローさんが日本人であることが有利に働く可能性すらある。イチローさんの満票に唯一、足りない要素があるとするならば、プレーオフでの実績、ワールドシリーズでのチャンピオンリング、さらに言えばワールドシリーズでのインパクトある活躍です」

リベラ氏が満票だった納得のワケ

 イチロー氏がプレーオフでプレーしたのはマリナーズでメジャーデビューした01年と、ヤンキース時代の12年の2シーズンのみ。いずれもリーグ優勝決定シリーズどまりで、ワールドシリーズではプレー経験がない。キャリアの多くを低迷したチームで過ごした。

 大リーグ史上ただ一人、19年に満票選出を果たしたマリアノ・リベラ氏はメジャー歴代最多の652セーブを挙げた。全てヤンキースという特殊な球団で、クローザーとして試合の勝敗の責任を一身に背負ったものだ。ワールドシリーズ制覇は5度も貢献した。

「手厳しいメディアの評価に常にさらされている名門球団で、個人としてもチームとしても突出した成績を残しました。もちろん薬物にも無縁でした。パナマ出身で15年にアメリカに帰化したことに関係なく、リベラのレベルまで来て初めて、うるさい記者にケチをつけられなくなるのではないでしょうか」(同代理人)

 野球の本場の米国でのプレーオフは、日本のクライマックスシリーズとは比較にならないほどの価値、注目度がある。「ミスターオクトーバー」の言葉を引くまでもなく、プレーオフで活躍してこそと言える。大谷翔平が勝つことに固執し、展望が見えないエンゼルスからドジャースに移籍したのも、米国ではワールドシリーズ覇者こそが至上の価値であることを切実に感じたことの裏返しでもある。

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