【光る君へ】視聴率は「どうする家康」より苦戦…NHKが低視聴率番組の要因を素直に語らない理由
個人、世帯ともに大河史上最低の視聴率だった「光る君へ」(日曜午後8時)の初回が、日本人の約5.5人に1人に当たる約2243.6万人に観られていたという。これに納得する人がいる一方、疑問を抱く人もいるだろう。どう評価すべき数字なのか? また、支持の実態はどう捉えるべきなのか。深掘りしたい。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
2243.6万人が観たが…
吉高由里子(35)主演の「光る君へ」の初回を観た人の数は、リアルタイム分とタイムシフト分(録画)を合わせると2243.6万人になるという。ただし、1分間以上観た人は全てカウントされている。(地上波とBSをともに観た重複分を除く。ビデオリサーチ調べ)
日本人の約5.5人に1人が観たことになる。途方もない視聴者数だ。もっとも、こういった数字は比較するデータがないと評価しにくい。このため、2023年の大河「どうする家康」のデータを見たところ、同条件で計2880.1万人だった。「光る君へ」はかなり下回っている。
視聴率も比較データがないと判断しにくい。「光る君へ」の第3回までの視聴率の平均値は個人が7.3%(世帯12.3%)。この数字の高低はどう見るべきなのか。
過去2年間の大河と比べてみたい。同じ第3回までの平均値は2022年の「鎌倉殿の13人」が個人9.7%(世帯15.9%)。「どうする家康」が個人9.2%(世帯15.1%)。「光る君へ」の序盤は苦戦していることが分かる。
平安時代が肌に合わないという人も
「光る君へ」の視聴率が高まらないのは10代と若い女性があまり観ていないから。第3話までのT層(13~19歳までの個人視聴率)の平均値は1.9%。F1層(女性20~34歳までの同)は同1.8%である。ともに100人当たり2人以下しか観ていない。
10代と若い女性はもともと時代劇への関心が薄い。それでも「鎌倉殿の13人」は同条件でT層が3.0%、F1層が同3.2%あり、「どうする家康」も同じくT層が同2.3%でF1層は同2.8%を記録した。
10代と若い女性が「光る君へ」を敬遠する理由は何か。戦国ゲームや刀剣は若者たちの一部で流行しているが、こちらの舞台は平安時代中期で貴族の世だから、興味が持たれにくいのが一因だろう。
そうでなくてもドラマ界には古くから「平安時代を舞台にした時代劇をヒットさせるのは難しい」というジンクスがある。ごく一部の貴族が特権を握っていた世界が肌に合わないという人も少なからずいる。
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