【冬ドラマ】個人視聴率2位は「グレイトギフト」、1位は…今後大化けしそうな作品は

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ドラマには世代ターゲットがある

 池上彰氏(73)が「いま各テレビ局は、世帯視聴率は問題にしていないんです」(東洋経済オンライン、2022年6月3日)と書いてから1年半が過ぎた。そろそろテレビ界以外でも個人視聴率が主流になるのではないか。

 個人視聴率が標準化された現在は「観てもらいたいターゲットが、実際に観ているかどうか」が問われる時代になっている。例えばNHK Eテレの「おかあさんといっしょ」(月~土曜午前7時45分)の1月22日放送は世帯視聴率が1.9%しかなく、この数字だけでは爆死番組扱いされかねない。

 もっとも、幼児を育てている人が多いF1層(女性20~34歳の個人視聴率)を見ると、2.3%ある。同時間帯では日本テレビ「ZIP」(平日午前5時50分)に次ぎ2位。堂々の人気番組なのだ。

 世帯視聴率には高齢者好みの番組ほど数字が高くなり、若い人向けの番組は低くなるという致命的欠陥もある。極端なまでの少子高齢化人口減社会である上、高齢者の独居世帯が急増しているからである。

 テレビ朝日のみ世帯視聴率の良さをPRしているが、同局とて使っているわけではない。スポンサーが世帯視聴率を見ないので、使えないのである。

10代が圧倒的に支持する「新空港占拠」

 4位は日テレ「新空港占拠」(土曜午後10時)の4.6%(20日放送、第2回)。ドラマ界が事前に予測していた通りの結果だ。2023年の冬ドラマで前作の「大病院占拠」が10代を中心とした若者から圧倒的に支持されたからである。

「新空港占拠」のT層は5.9%。100人のうち、5人以上が観ている。驚異的な数字だ。「さよならマエストロ」のT層は2.3%だから、2倍以上。コアは4.3%で断トツの1位である。

 この作品ほど世代によって評価が分かれるドラマはないのではないか。10代には考察があるところや展開、映像でテンポの速さを感じさせるところがいいのだろう。

 一方、50代以上の視聴者は少数。リアリティは皆無に等しく、テーマもあるのかないのか分からず、メッセージも存在しないから、仕方がない。ただし、この視聴結果はプロである日テレだって事前に分かっていたに違いない。

「新空港占拠」は40代以下向けに特化された作品と見るべきなのだ。個人視聴率の標準化によって、狙った世代が観ているかどうかの確認が出来るようになったので、世代限定型のドラマがつくりやすくなった。老人介護施設の契約や健康サプリを売りたいスポンサーは「新空港占拠」を提供しない。

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