佐々木朗希・契約問題「わがまま」と言われながらメジャーに挑戦した野茂英雄氏との明らかな違い

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イメージへの悪影響

 26日にはアメリカのCBSスポーツ(電子版)が「次に大型契約を結ぶ日本人選手」の1人として佐々木の名前を報道。そして佐々木は、初の越年交渉を選択した。

 年が明けた1月4日、ロッテの高坂俊介球団社長は年頭挨拶で「活躍した選手のメジャー挑戦は後押しをしていきたいという考え方は変わっていない」と断言。その一方で佐々木については「個々の選手の契約についてはコメントを差し控えたい」と述べるにとどまった。

「選手会に所属していると、メジャー移籍は困難になる、などということは全くありません。ならば、なぜ佐々木くんは脱退する必要があったのか、私のように選手会に深く関わった人間でも真意がよく分かりません。普通のプロ野球ファンなら、なおさら『?』でしょう。『佐々木投手に何があった?』というレベルならまだしも、『特定の組織から指示を受けているのか』、『誰かにそそのかされたのか?』と不安視されてしまうと、佐々木くんのイメージにも悪影響を与えてしまいます」(同・広澤氏)

 歴史を振り返ると、今の佐々木以上にメジャー挑戦を批判された選手がいた。日本人メジャーリーガーのパイオニアである野茂英雄氏だ。

読売新聞の野茂批判

 野茂氏は1994年のオフ、所属していた近鉄(現・オリックス)上層部との対立が深刻化。結局、近鉄が保有権を持つという「任意引退」に追い込まれ、他球団への移籍が不可能になった。

 ところが、「近鉄の保有権は外国の球団には及ばない」ことを踏まえ、野茂氏は翌95年2月にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ。

 野茂氏の決断を、球界だけでなく大手マスコミも「わがまま」と批判した。例えば、読売新聞は95年1月、「近鉄の野茂投手がわがまま通し『夢の挑戦』 球団も収拾努力欠く」との解説記事を掲載した。

 記事では不可解な起用法やコーチの暴言、契約更改での冷淡な態度など、野茂氏に対する近鉄の“横暴”を指摘し、《事態を収拾する努力に欠けていた》と一刀両断した。

 だが、その一方で野茂氏に対しても「球界のルールを破った」と厳しく糾弾した。おまけに読売が突出して野茂氏を批判していたのではなく、これが平均的な論調だったのだ。

《フリーエージェント(FA)の資格を得たうえでのことなら、勇気ある挑戦となるが、今回のケースは、野茂がわがままを通したという面もある》

《FA資格を得る前の選手が「チームが気に入らない」と言って、大リーグ入りを希望し、球団もそれを止められないようでは、球界の秩序そのものが壊れてしまう》

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