「日本の避難所は“ソマリアの難民キャンプよりひどい”」 世界から指摘されても、なぜ整備が進まないのか

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ソマリアより…

 市内の「鳳至(ふげし)公民館」で暮らす笠原淳一さん(51)も、

「76歳の父は1週間ほど前にコロナになって金沢の病院に入院しています。ここは狭いから中で隔離できない。だから熱が出た時は外に停めた車の中にいましたけど、車中泊は寒いししんどかったんだと思う。どんどん悪くなってしまって。トイレに行きたくないものだから、その前から食べたり飲んだりを我慢していた。弱ってきているところにうつされたんだろうな」

 16日には被災者で初めてコロナでの死者が出ている。

「災害時の日本の避難所は、極めて劣悪と世界から指摘され続けているのです」

 と述べるのは、拓殖大学特任教授で防災教育研究センター長の濱口和久氏だ。

「紛争や災害時の避難所に関し、国際赤十字が最低限の水準を定めた『スフィア基準』がありますが、日本の避難所はこれにほど遠く“ソマリアの難民キャンプよりひどい”と言う人もいるほど。プライバシーや衛生環境が保たれていない」

 なぜか。

「例えば火山大国のイタリアでは、政府が緊急事態宣言を出すと、その日のうちに自治体に備蓄してあるテントや簡易ベッド、トイレのユニットなどを運ぶ体制が整えられている。また、訓練を受けたボランティアが120万人以上いて、彼らが支援に入る。その際には日当や交通費が出ますし、公休も取れます。災害大国にもかかわらず、日本はいまだ、物的、人的な支援システムが整備不十分と言わざるを得ません」

 輪島市の断水は少なくとも2カ月以上続くという。苦しみはいつまで……。

週刊新潮 2024年2月1日号掲載

特集「『能登大地震』鳴りやまぬ哀哭」より

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