佐々木朗希“厳戒態勢・自費キャンプ”中に契約はまとまるのか ロッテが生かすべき「伊良部騒動」の教訓
移籍強行で思い出すあの投手
球団スタッフにとっては、何かと大変なキャンプとなりそうだが、先のベテラン記者によると、
「騒動が長引くようならどうするのか、あれこれスタッフと雑談していたのですが、こんなことを言う人がいました。“ウチは伊良部の件”で免疫がありますから、大丈夫ですよ”と」
伊良部の件とは1996年7月から翌97年5月まで、およそ11か月にわたって繰り広げられた騒動である。ロッテ投手だった伊良部秀輝が、球団にヤンキースへの移籍を直訴した。調整法などを巡り、当時の広岡達朗GM(91)との確執もあった伊良部だが、投手の主力であり、戦力面と営業面からも伊良部を球団が放出できるはずもなかった。
伊良部は代理人を立て、引き続き交渉を続けたが、球団は97年1月、2選手獲得の交換条件として、業務提携を結んだパドレスに伊良部の交渉権を譲渡する。しかし伊良部は入団拒否を明言。日米間の野球機構も巻き込んでの大問題となったが、パドレスとヤンキースが話し合い、パドレスが選手獲得などを条件に伊良部の保有権をヤンキースに渡すことになり、最終的に三角トレードの形で伊良部のヤンキース入団がかなった。
「この問題がきっかけとなり、日米双方が協議して、FA以外でプロ経験者がメジャー移籍できる方法として、入札によるポスティングシステムが生まれたのです。騒動の最中、伊良部はかなり強硬な態度に出て、球団を怒らせました。確執があったのは確かですが、球団とすれば、伊良部の気持ちにも配慮し、時間をかけて話し合いをするべきだったという反省もあります。この経験を、今回はどう生かせるか…」(前出・ベテラン記者)
果たして今回の結末はどうなるか……。