田中将大(35)2年で70%大減俸、楽天との蜜月関係は“終わりの始まり” 「酷いですわ」と嘆いても…「安楽問題」の代償、今オフ退団へ“加速”
メジャーでも日本も貴重な「イニングイーター」への不可解な仕打ち
それにしても、三顧の礼で迎え入れた田中に対し、楽天は昨オフに続き、大減俸とした。楽天復帰後の3年間は4、9、7勝と勝ち星は伸び悩んだものの、打線の援護との兼ね合いもある。
「特に復帰1年目はメジャー帰りのレジェンドの登板時には打者が萎縮して、点を取れない試合が続いていました。本人の責任だけではないところはあります」(チーム関係者)
一方でメジャーでは高評価を受け、田中もこだわるイニング数は約155、163、約139とチームではトップクラスだ。日本球界で見ても規定投球回に到達する投手が減っている昨今、貴重な「イニングイーター」となった。
「メジャーならこれだけの減俸を食らうような評価にはなりません。日本の他球団でも、ここまで年俸を下げるでしょうか? 楽天が何か他の評価軸で田中をみているとしか思えません」(米大手マネジメント会社の代理人)
楽天の田中に対する、容赦ない減額提示には、楽天ならではの特殊な事情があるようだ。
「大きなところでは、親会社が楽天モバイルの失敗による経営不振で、球団の資金にも余裕がないことが挙げられます。三木谷(浩史)オーナーの肝煎りで復帰した田中といえども、無傷ではいられないということです」
さる楽天球団関係者は、さらに続ける。
チームメートの不満抑制も狙い
「以前からチームでは年俸の格差に対して、一部選手から不満が出ていました。他球団からFAで獲得した選手や、田中のようにオーナーに特別扱いされる選手だけが好待遇になっていたからです。(22年オフの契約更改で)島内(宏明)が複数年契約中にもかかわらず、条件を不服として減額してでもFAになることを求めた、信じられないようなことが起きましたが、これもそのことをよく表していました。田中に、より厳しい条件を提示することで、他選手の不満を抑えたかったこともあります」
そこに、看過することができない「安楽問題」が重なった。
「安楽を可愛がっていた田中の存在がパワハラを助長したなどとともされていた中で、球団が選手に行った調査では、田中に責任が飛び火しないようにすることが前提にありました。看板選手がパワハラの一因になったとみられることを、回避したかったからです。田中は年長者としてパワハラへの意識の甘さこそ認めたのですが、関与していたのかどうかはうやむやで終わりました。結局、安楽一人が責任を負う形で自由契約になりました。田中は球団に借りをつくったと言えるので、交渉ではなかなか強く(金額面を)主張できなかったと思います」(同前)
球団に守ってもらった代償を、支払うしかなかったようだ。
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