5歳の時に死にかけ、詐欺事件に巻き込まれ、恐喝事件では1000万円の被害、最後は生活保護に【エスパー伊東の波瀾万丈人生】
「何度、死にかけたことか……。でも、なかなか死なない。そういう運勢なんでしょうね(笑)」──こう語ったのは、お笑い芸人のエスパー伊東さんだ。1月16日に亡くなった伊東さんは、年齢を非公表としていた時期が長かった。
***
晩年に所属した事務所が1960年12月26日生まれと公表しており、享年63。実は何度も犯罪の被害者になったことがあり、伊東万寿男という本名は以前から報じられていた。
また、当初は死因が不明とされていたが、事務所が19日に「てんかん重積(じゅうせき)のため医療機関にて逝去」と発表した。
武田薬品工業のサイトによると、てんかん重積とは《てんかん発作・けいれん発作が5分以上続いたり、短い発作が意識の戻らないうちに繰り返し起こる状態》だという。
伊東さんは2019年4月から多発性脳梗塞の投薬治療を開始。YAHOO!ニュースのコメント欄では精神科医で睡眠の専門家が「高齢者にもてんかんは見られ、その3分の2は脳梗塞などが原因」と解説。伊東さんの場合も、てんかんと脳梗塞は関連があったのかもしれない。
冒頭で紹介した伊東さんの言葉は、週刊実話(日本ジャーナル出版)の臨時増刊・2010年6月5日号に掲載された「九死に一生☆インタビュー」という記事から抜粋したものだ。伊東さんが自身の生い立ちや芸人としてデビューするまでの経緯、芸にかける想いなどを語っており、非常に貴重で内容も興味深い。
「何度も死にかけた」
伊東さんは1990年代、ボストンバッグの中に全身を入れる「カバン芸」でブレイクした。他にも激辛料理に挑戦したり、ゴム手袋を頭から被って鼻息で膨らませて割るなど、体を張った芸で人気を集めた。
週刊実話のインタビュー記事によると、幼い頃から「大道芸人になって世界を回る」というイメージを持っていたという。そして小学生の頃から体を張った芸を披露していたようだ。
その中の一つが、階段から転げ落ちる“階段落ち”。伊東さんは「休み時間に友達を集めて階段から落ちたら、『すごい!』って誉められて、それが快感になっちゃったんですよね」と振り返っている。
中学の時には、友達に次々と腹を殴ってもらう“鋼鉄腹筋”の芸を編み出した。また、高いところからジャンプすることも多く、滑って後頭部を打って気絶したこともあった。インタビュアーが「命に関わるような気もしますが……」と訊くと、伊東さんは次のように答えた。
《死にかけたことは何度もありますよ。5歳のときに、僕だけ部屋に残して、母親が鍵を閉めて買い物に行っちゃったんですよ。それで、僕が火遊びをしていたら燃え広がっちゃって、外からしか開けられない鍵だったから逃げ場がない》
《死ぬ間際に母親が帰ってきて、助かりましたけど。それから何度、死にかけたことか……。でも、なかなか死なない。そういう運勢なんでしょうね(笑)》
[1/3ページ]