「コスパ日本一」に輝いた意外な“関東の農業県”とは? カリスマ農家が明かす「常に二番手の産地」が勝てた理由

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 農業のコストパフォーマンスに最も優れた県――。こう言われて思い浮かぶのは、北の大地・北海道や、東西の需要を広く取り込む愛知県などではないだろうか。意外かもしれないが、答えは、群馬県。キャベツやコンニャクイモで生産量日本一、キュウリや梅、ホウレンソウで2位を誇る割に、「農業県」の印象は薄い。群馬の農業はなぜ日本一効率がいいのか。同県昭和村を拠点に年商50億円のグループを築き、「カリスマ農家」の異名をとる澤浦彰治さんに、その理由を聞いた。【山口亮子/ジャーナリスト】

民間で事業をどんどん大きくする

 かくいう筆者も、群馬の農業に対し、もともと具体的なイメージをほとんど持ち合わせていなかった。しいて言えば、特産のコンニャクで過去に相場が上がって豪壮な「コンニャク御殿」が建った時代もあったらしいということくらい。

 農業は儲からないと誤解されがちだが、数十億円から百億円超を稼ぐ企業やグループが群馬にはある。モスバーガーと契約栽培していることで知られ、今回インタビューした澤浦さんが代表を務める株式会社野菜くらぶもその一つ。ほかに養豚で国内有数の規模を誇る株式会社林牧場(前橋市)、養鶏を中心として事業を展開する株式会社トマル(同市)などもある。

 経済産業省によると、中小企業一社当たりの売上高は1.8億円(2021年)であり、これらの農業法人は中小企業のなかでも極めて大きい部類となる。儲かる農業の体現者が群馬には多い。

 県の農業予算を農業産出額で割ったコストパフォーマンスで、群馬県は最も優れている。詳しくは1月20日発売の拙著『日本一の農業県はどこか―農業の通信簿―』(新潮新書)をご覧いただきたい。群馬県が1円の予算で稼ぎ出した農業産出額は、2021年に13円だった。全国平均は5.7円、最下位の県はわずか1.65円で、群馬県の効率の良さが分かる。

 澤浦さんにこう伝えたときの最初の反応は、「農業の予算額が他と比べて少ないということでしたら、あまり自慢できることではないように思います」というもの。

「群馬は行政や農業をする人にとってある意味、恵まれた土地柄でしょうね。行政の動きと関係なく、民間でどんどん事業を大きくできる環境にあるので」

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