ダウンタウン・松本人志が文春を提訴 「代理人のヤメ検弁護士」の意外な依頼人と経歴
検察を激しく揺さぶった
この事件は、民主党の代表を務めた小沢一郎氏の資金管理団体を舞台とする政治資金規正法違反が疑われた事件だ。
「特捜検事の田代氏は小沢氏の秘書だった石川知裕氏(後に衆院議員)の取り調べを担当していました。その際、石川氏がICレコーダーを取り調べ室に持ち込み、“隠し録音”をしたことがあったのですが、取り調べではなかったはずのやり取りが捜査報告書に記述されていたことが、後に開かれた事件の公判で明らかになりました」(同)
「この“捜査報告書の虚偽記載”への関与は、大阪地検特捜部で主任検事が証拠を改ざんする事件が発生し、検事総長が辞職することになった直後だったこともあり、さらに激しく検察を揺さぶりました。田代氏はこの件で市民団体から告発を受けることになり、不起訴になったものの、懲戒処分を受けた後に検察庁を去っています」(同)
田代氏の能力に疑問を投げかける声は少なからずあり、その根拠とされるのがこういった検事時代の不祥事のようだ。ところで、田代氏自身はどういったキャラクターだったのか。
後輩からの信頼も厚かった
「とても優秀な検察官だと聞いていました。面倒見もよく、後輩からの信頼も厚かったですね。もちろん本当に優秀なら虚偽記載に関与などしないとも言えますが、特捜部長ら上司からの大きな期待を自覚し、成果を焦った結果だったようにもみえました。“もし自分が田代氏の立場だったらどうしていたか、虚偽記載に関与しなかったと胸を張れる自信がない”と言っている別の検事もいましたね。取り調べ相手の石川氏はほぼ“完オチ”しており、お互いに関係を構築できているという自負もあったようで、まさかの“隠し録音”だったということでした」(同)
そもそも捜査自体がムリ筋だったとの指摘も検察内外から数多くあったとされる。当時、法相から減給6カ月、100分の20の懲戒処分を受けた際には、若手から処分軽減の嘆願も出たという。
「虚偽記載に関して戒告処分を受けた特捜部長はその後も検察組織に残りましたが、田代氏は退官を選びました。新天地でいわゆるヤメ検として力を発揮したいと当然、考えていたと思いますが、心配事もあったようです」(同)
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