「選挙のお礼」で県議ら7人を「2泊3日ソウル旅行」接待 また出た、岸田内閣副大臣の買収疑惑
「事後買収にあたる」
しかも、旅行に行ったメンバーは工藤副大臣の選挙を手伝っただけではなく、全員が彼の選挙区の有権者でもある。
「選挙運動を頑張ってもらったお礼に旅行に連れて行ったのが事実なら事後買収にあたり、公職選挙法違反となります。買収された側も被買収の罪に問われる可能性がある行為です」
そう指摘するのは、自民党派閥の裏金問題を告発した神戸学院大学教授の上脇博之氏だ。
「また、公選法では候補者が選挙区内の人に対して寄付することを禁止しています。ですので、買収目的の旅行と断定できなくとも違法ということになります」
はたして、当事者たちはどう説明するのか。旅行に参加した県議・市議の“ボス”的な立場で、工藤副大臣も頭が上がらないという直江県議は自宅で取材に応じた。
――もし(旅行代金を)払ってもらっていたら公職選挙法違反になる。
「おごってもらったらいかんというのは分かっとる」
――返した記憶はない?
「返したという思いだわ。気持ちだ、今思うと」
返したという明確な記憶はないものの、その“気持ち”はあると言い張るのだ。ところが、しばらくして再び自宅を訪れると、
「やっぱり思い出したけど、返したわ。事務所へ。確か、封筒に入れて秘書に渡したわ。女房も“確か返したと思う”って言ってるし」
どちらかがうそを…
一方の工藤副大臣の弁明はこうだ。
――(請求書を見せながら)176万円を工藤さんが払ったということでいい?
「払ったと思う。(出どころとして)どこから払ったのかは定かじゃない」
――各議員の分は後で工藤さんが徴収したのか?
「各議員に請求してよねという話をツーリストラボにした」
――ツーリストラボが各議員から徴収した?
「全部こっちが集めに行くの面倒くさいもん」
――ツーリストラボが各議員から集めた金を工藤さんが受け取ったということ?
「うんうんうん。そういうふうに相殺したはずだ。(ツーリストラボの)社長と直接会って現金の受け渡しをしたおぼえはないけど、確かそうだったと思う」
直江県議は工藤副大臣の秘書に旅行代金を渡したと言い、工藤副大臣は、旅行会社が各議員から徴収したと主張する。どちらがうそをついているのか。あるいは、両方共に虚偽なのか……。岸田政権に新たな火種が生まれたことは間違いない。
先の上脇氏は、これについて「言語道断」としたうえで、
「私の見解では議員辞職すべき事柄で、副大臣の職を辞すべきだというのは言うまでもありません」
1月25日発売の「週刊新潮」では、工藤副大臣の疑惑の詳細を含め、「岸田vs.麻生」の内幕や「ポスト岸田」をめぐる暗闘など、混乱する自民党政権の現状を7ページにわたって特集する。