サッカー日本代表、正念場のインドネシア戦が「地上波で放送されない」問題…仕事帰りに観戦できる意外な“穴場”も
サッカーのアジア王者を決めるAFCアジアカップカタール2023が幕を開けた。1月14日(日本時間)の初戦では、かつての指揮官、フィリップ・トルシエ監督率いるベトナム代表と対戦し、一時は逆転を許したものの、4対2で辛勝を収めた。
続く19日には、イラク代表と対戦。日本優位に進むと思われた試合だったが、開始間もない前半5分にアイマン・フセインのヘディングで先制されると、前半49分にも再びアイマンに追加点を許し、終始押し込まれた前半を2対0で折り返した。
日本代表は後半から2列目の並びを変更。上田綺世(フェイエノールト)、堂安律(フライブルク)、旗手玲央(セルティック)、前田大然(セルティック)ら、攻撃の選手を次々と投入して攻撃の糸口を探ったが、イラク代表の固い守備を崩せず……。後半48分に遠藤航(リヴァプール)のヘディングでの得点が決まり1点を返したものの追加点を奪えなかった日本代表は、1対2でイラク代表の前に屈した。思わぬ形で足元を掬われた日本代表は、24日の1次リーグの最終戦でインドネシア代表との対戦が控えており、決勝トーナメント進出と3大会ぶり5度目の優勝に向けて、厳しい戦いを強いられることになった。【白鳥純一/ライター】
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地上波での放送は4試合のみ
2022年冬のカタールW杯では、過去に優勝経験のあるドイツ代表とスペイン代表を撃破してベスト16入りを果たすなど日本サッカーは目覚ましい躍進を遂げている。だが、その上昇気流のような勢いに影を落としているのが放映権料に関する問題だ。
サッカーをはじめとするスポーツの放映権料は、大会の巨大化や高額化する選手の年俸に加えて、放映のプラットフォームを持つようになったIT企業などの参入で市場競争が激化した影響から、年々高騰を続けている。昨年12月に発表されたイギリス・プレミアリーグの放映権料は、4年間で実に約1兆2500億円(2025-26シーズンから採用)。まだ他のリーグを大きく引き離してはいるものの、放映権ビジネスの肥大化をさらに加速させていくことになるだろう。
放映権料高騰の波は、長引く景気低迷や円安に苦しむ日本にも押し寄せ、日に日にその影響は色濃くなっている。昨年は、放映権の交渉難航を受けて女子W杯の放映が直前まで不透明な状態となり、11月に行われた男子日本代表のW杯アジア2次予選のシリア戦で試合中継が見送られたことも記憶に新しい。
新年早々に幕を開けた今回のアジアカップは、DAZNが日本代表戦を含む全51試合をライブ中継することが決まっている。だが、地上波での放送は、予選リーグのイラク戦と準々決勝以降の4試合に限られる。日頃からスポーツに触れる機会が少ない“一般層”が代表戦を観る機会を失う可能性が指摘されており、こうした状況が続けば、子どもたちをはじめとする新規ファンの獲得に悪影響を及ぼし、将来的なサッカー人気の低迷を引き起こす要因になるのではないかといった意見も一部からは漏れ聞こえる。
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