「派閥解消」で大勝負に出た岸田総理 元側近は「真面目にやっている宏池会メンバーは困惑」「政権の延命狙いだと言われても仕方ない」

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諸悪の根源は何か

 一体どういうことか。

「いまの政界にはいわゆる小泉チルドレンや安倍チルドレンといった時の政権のブームという“風”の力を借りて当選してきた議員が多くいます。彼らは当選するための地元の組織を持っていない。では誰に頼るのか。地元の県議や市議らです。最初の選挙では彼らに頼らざるを得ない。ですが、彼らもタダでは動きません。県議選の時には、県議が国会議員との2連ポスターを作り、国会議員がポスター代などの費用の一部を負担するという話も聞きます。そこまでしないと地方議員が動いてくれない。河井克行・案里事件の時には地元県議らに金がばら撒かれた。選挙には金がかかるということです」

 また、政治家は日常的にもお金がかかる。

 国会議員は基本的に公設秘書以外の給与は議員側で出さねばならず、公設以外の秘書を数人抱えているというケースも珍しくない。地方になると、選挙区が広いので、事務所を複数構えなくてはならず、そのための家賃、秘書も必要になる。車のリース代や維持費もかかる。

「今回の裏金がこのような使われ方をしているのかはわからないとはいえ、“政治は金がかかる”のが諸悪の根源です。そこから正していかないと、金集めという意味で同じ問題がまた起こるのではないでしょうか」

 そもそも、現代政治における派閥の意味とは何なのか。

「かつて、冷戦時代には国民は社会党に政権をとらせようと思っていませんでしたから、自民党の中から選ぼうという意識が強かったと思います。さらに当時は中選挙区時代です。同じ自民党なのに、同じ選挙区から考えの違う候補が複数立候補していました。自民党内でリベラルな人、右寄りの考えの人がいて、それぞれが派閥に所属し、切磋琢磨していました。それぞれが派閥に属しながら候補者の色を出してきたのです。しかし、いまは小選挙区制になり、そうしたこともなくなり、政治家の“色”も薄まっています。派閥は政策集団と名乗っていますけど、いまの派閥では政策なんか作ったことありませんよ」

自民党が変わるには

 そして、いまこそ自民党を二つに割るべきだと言う。

「今後、派閥のように金を集めるかはともかく、自民党内で新たなグループができてくるでしょう。政治家は必ず群れるものなのです。本当に志のあるグループができればよいですが、かたや、小選挙区制であることに変わりはなく、しかもいまの野党には政権担当能力はありません。だからこそ、自民党をふたつに割って、二大政党制を作り、競いあっていくべきです。党の割り方はいろんな考えがあるでしょう。右寄りかリベラルか、大きな政府か小さな政府か、という考えもあります。まずは二大政党を作れば、野党はどちらかについてくる。政権を取られるかもしれない、という危機感があれば政治家はみな真面目に働くようになりますよ。そうならないと、いつまでもいまの自民党のまま。変わらないですよ」

デイリー新潮編集部

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